<楽天2-1日本ハム>◇25日◇Kスタ宮城

 主将が決めた。楽天松井稼頭央内野手(36)が9回に代打でサヨナラ打を放った。8回まで打線は0行進だったが、1点を追う9回に日本ハム武田久を攻め、4番枡田が同点適時打。なお1死一、二塁から松井が左前打。最終回で試合をひっくり返した。前日24日に自力Vが消滅。負けられない戦いが続く中、チームの要が劇的に決めた。

 決めるしかなかった。9回、代打の松井は集中力を研ぎ澄ませた。武田久の5球目、外角高めのカーブを振り抜いた。打球がフラフラと左翼線へ落ちる。枡田のホーム生還を見届けると、ベンチから選手全員が猛烈に走ってきた。もみくちゃにされ、倒され、祝福の水掛けでびしょぬれになった。「同点でつないでくれて、ファンも盛り上がってくれて、期待に応えられて良かった」とホッとした表情で振り返った。

 仲間が演出してくれた。9回、枡田の適時打で追いつき、1死二塁から前打者の草野は敬遠された。メジャー時代は経験しているが、日本では代打で初安打。それがサヨナラ打で「どんなヒットでもうれしいですけど、あの場面で回ってきて打てたのはうれしいですね」と笑顔を見せた。

 ここまで打率2割台前半と結果が出ていなかった。西武時代、8年レギュラーを張った男がスタメンを外されることもある。この日も左打者をそろえた打線に両打ち松井の名はなかった。意地のサヨナラ打だった。

 プロ19年目。「年齢で野球やってるわけじゃない。そんなこと言ったら70歳の人が一番野球がうまい、10歳の人が一番動ける。そういうわけじゃないでしょ」と持論を持つ。「クレメンスだって、また復帰したんだから。年齢のせいじゃない」と、米独立リーグに50歳で現役復帰したロジャー・クレメンスを引き合いに、打てないのは技術不足と言い切る。打撃練習でも若手の打ち方をじっと見つめ参考にする。向上心は年をとっても変わらなかった。

 体も万全ではない。5月中旬に負傷した右手首には痛みが残っており、試合後はテーピングをしてケアをする。それでも練習、試合では全力。「かばって他のところも痛くなる。体ボロボロよ」と言いながら、100%の力を出した。

 星野監督は「ああいうシーンばっかりだったらいいんだけどね。あまり見られないから」と今季3度目のサヨナラ勝ちを振り返った。前日24日に自力Vは消滅し、敗れれば上位も遠のく。松井は「最後まで諦めない」。チームの思いを代弁するように言った。【斎藤庸裕】

 ▼代打松井がサヨナラ安打。松井のサヨナラ安打は今年の7月1日ソフトバンク戦以来、通算8本目になる(他にサヨナラ犠飛が1度)。日本で松井が代打に起用されたのは、西武時代の01年10月1日日本ハム戦以来、11年ぶり。過去の代打成績は95年二ゴ、投ゴ、01年三ゴ、三併、投ギ、三振で、日本で代打安打は初めてだった。ちなみに、メジャーでの代打成績は通算47打数12安打。