<中日0-1阪神>◇8日◇ナゴヤドーム

 中日山本昌投手(47)がナゴヤドームで復活した。阪神19回戦で先発。引退覚悟で上った2カ月ぶりの1軍マウンドで5回1/3を投げ、5安打無失点に抑えた。来季去就について本人は「今後のピッチング次第」と明言を避けたが、巧みな投球術は健在。高木守道監督(71)は「いける、いける」と絶賛した。

 色あせていなかった。躍動感のある投球フォームからキレのある直球と鋭い変化球を投げ込む。山本昌のスタイルはこの日も変わらなかった。3回には135キロ直球で8番藤井彰を空振り三振。4回にも先頭大和をストレートで空振り三振に仕留めた。6回途中で息切れしたが、47歳は最後まで飛ばしまくった。

 「先のことは考えずにいった。もっと調整してきたことを出したかったけどね。次はもうちょっと、しっかり投げられるようにしたい」

 引退覚悟なんて、うそのような快投劇だった。高木監督も「(まだ)いける、いける」と大絶賛だ。「今度は相手が打てそうなピッチャーの時に投げさせるよ。今日はかわいそう。勝ってもおかしくない。マサを(プロ初登板の阪神岩本が先発する)明日にすれば、良かったかな」と冗談っぽく続けた。

 勝ち星はつかなかった。今季ここまで11試合に登板し、2勝2敗、防御率3・19。試合後の駐車場で報道陣に囲まれたベテランは、慎重に言葉を選んだ。来季去就には「投げてると言っても2つしか勝ってないし。どうなるか分からない。かと言って諦めたわけじゃないよ」と語った。

 その一方で「KOされたら、はっきり言うつもりだったんだけどな」と、冗談とも本気とも受け取れる発言も。最後には「微妙すぎた?」と報道陣を気遣い、車へ乗り込んだ。

 この日は5回に打球を避けた際、左肘を太ももにぶつけるアクシデントもあった。だが「大丈夫。明日は普通に練習してると思います」と言い切った。気持ちもなえていない。今後は登録抹消される見込みだが、シーズン中にもう1度、チャンスがありそうだ。47歳。球界最年長投手は崖っぷちで踏みとどまった。【桝井聡】

 ▼山本昌が7月12日阪神戦以来の先発。8月11日に47歳の誕生日を迎えてからは初登板で、47歳を過ぎて登板は50年浜崎(阪急)9試合、50年湯浅(毎日)1試合、10年工藤(西武)10試合に次いで4人目。工藤はすべてリリーフで、47歳以上で先発は50年浜崎が4月23日大映戦(48歳4カ月)同30日西鉄戦(48歳4カ月)11月5日毎日戦(48歳10カ月)の3試合、50年湯浅が11月5日阪急戦(48歳1カ月)で先発して以来3人、5度目。