<中日0-1阪神>◇8日◇ナゴヤドーム

 1勝するのは、ほんまにしんどい。もう勝てないのか、とさえ思ったナゴヤドームで今季10戦目の初勝利だ。能見の快投にようやく応えたのが9回。藤井彰のセーフティースクイズに三塁走者・俊介の好走もはまって決勝点を奪った。和田豊監督(50)の意地と執念がつまった鬼門突破の完封星。来季へ、いや今日の第3戦につなげろ!

 暗闇の中、長い道のりを歩き続け、虎がようやく鬼門を突破した。行き詰まる投手戦は0-0のまま9回表へ。1死一、三塁で雄太の初球、藤井彰が素早くバットを横に構える。内寄り138キロ直球の勢いをしっかり殺し、投手前一塁寄りに転がした。同時に三塁走者俊介がスタートを切る。雄太のグラブトスがワンバウンドする間に、左手でホームベースに触れた。

 和田監督

 しかしホームが遠いな。あそこはアレしかない。そういう作戦は5月以降、ずっと成功しなかったから。

 今季、ナゴヤドーム10試合目。ここまで8敗1分けで完封負けが4度、総得点は「9」と散々な内容が続いていた。指揮官から並々ならぬ気迫を感じたのは当然だ。3回2死一塁で上本が二盗失敗。タッチより先に足が入っていたようにも見えるプレーに対しては、ベンチから一気に二塁まで抗議に走った。5回1死一塁からは狩野が左中間二塁打を放ったが、一塁走者関本が間一髪で本塁憤死。なかなか流れを引き寄せられない中、それでも迷いなきタクトを振り続けた。

 7回2死三塁で9番能見をそのまま打席へ。「(代打は)全く考えなかった」。快投する主戦への厚い信頼を形で示す。一方で2打席連続二塁打を決めた右翼狩野を、7回裏の守りから名手平野にきっぱりスイッチ。9回1死二塁からはその平野が右前打で好機を拡大し、藤井彰がセーフティースクイズを決めた。采配にメリハリを利かせ、虎の子の1点を土壇場でゲット。監督就任時から掲げてきた機動力野球を成功させ、遅まきながら今季ナゴヤドーム初星をもぎ取った。

 和田監督

 名古屋のタイガースファンには、勝利を見せられなくて申し訳なく思う。やっと勝ちゲームを見せられた。喜べる状態じゃないが、ようやく見てもらえた。

 これで借金19で迎えた試合は8連勝。重厚な鬼門を突破した先に、明るい未来が待っていると信じたい。【佐井陽介】

 ▼阪神のスクイズ成功は、4月4日ヤクルト戦(神宮)8回の俊介、同6日巨人戦(甲子園)7回の小宮山に次ぎ今季3度目。なおスクイズの得点のみによる1-0勝利は、05年9月15日ヤクルト-広島戦(神宮)で、ヤクルト城石が5回に成功させ決勝点を挙げて以来、プロ野球7年ぶり。