阪神片岡篤史打撃コーチ(43)が今季限りで退団することが25日、分かった。この日、球団に辞任を申し入れた。球団は強く慰留したが、本人の決意は固く打撃不振の責任を背負う形で球団を去る。暗黒時代以来の大不振はヘッド、打撃コーチの退団という事態に発展した。球団は来季へ向けて水谷実雄氏(64)の打撃コーチ招聘(しょうへい)を検討しているが、得点力不足の本質的な問題は来季へ持ち越される。

 片岡打撃コーチはこの日、球団首脳と来季についての話し合いを持った。来季へ向けて、コーチ陣刷新を進めている球団は来季もスタッフ構想に入れていたが、本人が成績不振の責任を取って辞任を申し入れた。和田監督からの信頼も厚いことから球団は強く慰留したが、決意は固く、今季限りでの退団が決まった。

 和田体制1年目の今季、打線は大不振に陥った。2年連続リーグ最多安打のマートンの打撃が低迷すると、開幕から4番を任せた新井もこの日まで打率2割4分9厘、9本塁打と結果を出せず。さらに、10年に47本塁打を放ったブラゼルも打撃不振で2軍落ちするなど、平野も含めて主力打者が相次いで不振だった。主力野手の高齢化などさまざまな要因が重なり、10年にリーグ最高打率を誇った打線は、25日現在、22度の完封負けを喫している。

 02年にFAで日本ハムから阪神に移籍した片岡打撃コーチは03年、05年のリーグ優勝に貢献した。06年限りで引退した後、10年から入閣した。昨季は和田監督とともに1軍の打撃コーチを務め、今季から打撃部門のトップに昇格した。前半戦から主力打者の調子がなかなか上がらない状態で、中盤戦からは新井良ら控え組を先発起用するなど競争の原理を導入して、活性化を図った。その結果、新井良は2ケタ本塁打を放つなどブレークしたが、打線全体は最後まで数字が上がってこなかった。

 球団はすでに来季に向けて、経験豊富な水谷実雄氏の1軍打撃コーチ招聘(しょうへい)を検討している。主力の高齢化、若手の伸び悩みに加え、和田監督が掲げた犠打や走力を駆使して1点を奪う野球は、機能しないままシーズンを終わろうとしている。この日まで1試合平均得点はリーグ最低の2・8点。チーム全体としての得点能力の低さが打撃部門トップの辞任を招いた。結果的に片岡打撃コーチが責任をかぶる形となったが、これらの本質的課題は来季へと持ち越される。

 ◆片岡篤史(かたおか・あつし)1969年(昭44)6月27日、京都府生まれ。PL学園-同大。91年ドラフト2位で日本ハム入団。1年目からレギュラーで活躍。01年オフにFAで阪神入り。03、05年の優勝に貢献。06年現役引退。通算1569試合、717打点、164本塁打、打率2割7分。10年から阪神1軍打撃コーチ。