<セCSファイナルステージ:巨人4-5中日>◇第3戦◇19日◇東京ドーム

 徳俵に足がかかった。後がないし、言葉もない。巨人原辰徳監督(54)の会見は1分に満たない57秒。「少しチーム全体も動いてきましたけどね。結果として勝つことができなかった。総力の中で戦って、結果、まあ、もう1敗もできない状況になった。そういう中で明日を迎え、しっかり戦う、ということですね。これ以上もこれ以下もないと思うんだけど、今日はね。いいかな?」。口を真一文字に結び、質問を打ち切った。

 延長10回、守護神・西村が力尽きた。1死一、三塁で谷繁のスリーバントスクイズを見破り、ワンバウンドのフォークでファウル(記録は三振)にしたまではよかった。続く代打・堂上剛に決勝打を浴びた。追い込んでからの直球。裏を突いたはずが裏目になった。

 東京ドームで3連敗は今季初。圧倒的有利なはずのアドバンテージは吹き飛び、気付けば「中日王手」だ。要因は「動く」のが遅かったからではないか。

 まずメンバー再選考。この日、2軍調整中の小笠原とエドガーを東京ドームに呼んだ。結果的には以前から1軍に同行している中井とボウカーを登録したが、2人の練習合流はナインの緊張感を生んだ。ただし、リーグ優勝からCSまで20日以上あった。試行錯誤はその間にもできたはずだ。

 オーダーも変えた。2試合連続で機能しなかった藤村を外し、2番は谷を先発させた。谷は2度の犠打を初球で決め応えた。得点につながらなかったが、7回は1死一塁からのバント。短期決戦ならではの、1点を奪いに行く姿勢を鮮明に出した。

 前日まで2試合は、貯金43と圧倒的な強さを誇ったシーズン同様の戦いぶり。短期決戦らしからぬ淡泊さがアダとなった。3戦目のテコ入れは当日に結果は出なかった。ただ、今日も試合は残っている。後がないのは事実だが、まだ間に合うのも事実。沢村で勝つしかない。【金子航】