タカの助っ人最後のピースは「ぶつけ屋」だ。ソフトバンク球団幹部が17日、新外国人としてビセンテ・パディーヤ投手(35=レッドソックスFA)と大筋合意に達したと明かした。米大リーグ公式サイトは同日、1年325万ドル(約2億7625万円)で契約したと伝えた。メジャー108勝右腕は通算の与死球も109と多く、荒くれエピソードがわんさか…。超大物が先発ローテに殴り込み!

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 今年もソフトバンクにお騒がせ男がやって来る!?

 石渡編成育成部長はパディーヤ獲得について「大筋では合意できている。あとは細かいところ」と認め、近日中に正式発表される見込みとなった。メジャー14年間で108勝の大物。注目されるのは死球の多さだ。

 米国では死球をぶつける投手のことを「ヘッドハンター」と呼ぶが、パディーヤはその代表格とされる。通算109死球は現役で2番目に多く、歴代でも67位タイ。06年は17死球で「与死球王」となった。かなりの数が意図的なようで、レンジャーズ時代には当時アスレチックスだったスウィッシャーにビーンボールを投げ、怒ってマウンドへ来た相手に逆に馬乗りになって殴りかかり、7試合の出場停止を受けた。

 普段は物静かだが、とにかく口が悪いようでメジャーでは「クラブハウスのガン」と呼ばれるほど。現ヤンキースのテシェイラはレ軍時代のチームメートだが、犬猿の仲。昨年、危険球を投げてメディアを通した舌戦となった。テシェイラが「ああいう投球をするべきではない」とコメントすると、パディーヤは「これは戦いだから、そんなこと言うなら女のスポーツをやれ」とやり返した。

 私生活でもお騒がせ。03年オフには乗っていた車が衝突事故を起こし運転手が死亡。パディーヤは骨折で済んだという。ある時は狩猟に出かけ、間違って知人に右足を銃で撃たれた。関係者によると06年に飲酒運転で逮捕歴もある。08年には「ニカラグアに帰る」とシーズン中にいきなり途中帰国。09年は新型インフルエンザにメジャーリーガーで一番先に感染した。

 ソフトバンクでは昨季、鳴り物入りで入団した右腕ペニーが1試合登板のみで5月に退団。パディーヤも実力は確かなだけに、素行が気になるところ。石渡部長は「大事なところとは思う。一番は力。やってもらえればいい。獲得したら補強は一区切り、一段落でしょうかね」と話した。先発ローテの一角として期待通りに働けば、日本一奪回が近づいてくる。暴れ馬だけに、首脳陣の手綱さばきにも注目が集まりそうだ。

 ◆ビセンテ・パディーヤ

 1977年9月27日、ニカラグア生まれ。99年にダイヤモンドバックスでメジャーデビュー。フィリーズ移籍後の02年に14勝で球宴出場。03年も14勝。レンジャーズ移籍後、06年に自己最多の15勝。昨季は救援として56試合に登板した。直球は150キロ前後で、カーブ、シンカー、スライダー、チェンジアップ、スローカーブと多彩。183センチ、104キロ。右投げ右打ち。