日本ハムのドラフト1位、大谷翔平投手(18=花巻東)が18日、千葉・鎌ケ谷の2軍施設で、現役引退後に高校野球の監督になりたいという夢を明かした。前日17日に日本学生野球協会がプロ側にプロ経験者が高校の指導者になるための条件緩和案を提示。高校野球指導の枠が広がる見通しに歓迎の意思を示した。プロアマ関係の劇的な雪解けが、将来的なメジャー挑戦意向を持つ18歳の青年に新たな希望を抱かせた。

 メジャー挑戦という大志を抱く金の卵に、新たな目標が生まれた。大谷がセカンドキャリアとして、高校野球の監督になる夢を吐露した。「プロで結果を残した人に教えてもらうのは影響力もあると思います。しっかりやって、そういうことを、やってみたいです」。プロで実績を残し、培った技術や経験を高校球児に還元する。現役引退後の人生設計の中に、魅力的な選択肢が追加された。

 前日17日、プロ経験者の高校野球指導について条件緩和の方向性が示された。「すごく、いいことだと思います」とプロアマ関係の劇的変化を喜んだ。高卒でプロ入りした選手も、5日前後の座学を受ければ資格が与えられる見通しとなった。「技術とか、自分がやってきたことを教えられるのであれば、いいことだと思います」。プロ野球選手として船出したばかりだが、夢が広がった。

 目標は恩師である花巻東の佐々木洋監督(37)だ。野球選手を育てるのではなく、人間教育をモットーとしている。昨年1月には、野球部監督としての指導や実績が評価され、11年度の文部科学大臣優秀教員として表彰された。大谷も入学後に投球フォームで左足が体の軸から右側に踏み出す悪癖を指摘され修正。最速160キロにつながった。日本かメジャーで進路に悩んだ際も、相談に乗ってもらった。

 プロで投打の二刀流に取り組むことができるのも、高校3年間の指導があったからと自覚している。「佐々木監督みたいに教える自信は、今はないです。まだ、そういう人間でもないと思うので。そんな人物になってから、人に教えられたらうれしいです」。まだ、18歳。社会に飛び出したばかりの青年は、技術の向上だけでなく、人間的な成長も誓った。

 この日は、新人合同自主トレが休日で静養に努めた。「午前中は、けっこう寝ました」と、慣れない環境に、見えない疲労もたまっていたようだ。それでも「夜は、ちょっと打ちます。技術練習ですね。忘れると怖いので」。壮大な夢に向かって、1歩ずつレベルアップしていく。【木下大輔】