西武片岡治大内野手(29)が6日、「サントリー走法」で3年ぶりの盗塁王奪還を目指すことを誓った。オフにラグビーのトップリーグで連覇したサントリーの練習に参加。「足の上げ方」「走る時の姿勢」「足裏の接地時間の短縮」の3つを伝授され、新走法が完成した。「意識も含めて、自分の中ではすごく変わった。今年の盗塁はサントリー盗塁です」と命名した。

 走る球技のプロからの金言は、球界の韋駄天(いだてん)でも新鮮だった。最も刺激的だったのは、足の接地時間。速く走るために、つま先の接地時間を短くすることを大事にしてきたが、かかとの方を短くする走法を指南された。つま先から入りすぎれば、ブレーキにもつながるようで、かかとを中心とした足全体で土を踏み、全身からのパワーをよりスピードに変える走法だった。

 07年から4年連続盗塁王を獲得するも、この2年はケガで苦しんだ。ゼロからのスタートを強調する中、レギュラーを再奪取するため、そして、アスレチックスに移籍した中島、開幕絶望的の中村の穴を埋めるため、自慢の足を磨き、機動力で貢献することが先決だった。一昨年は左肩、昨年は右手首を手術。「生まれ変わる」思いを込め、読み方は変えず、登録名を易之から治大に変更した。

 今キャンプ中、昨年以上に足を高く上げ、背筋を意識した上で、ダッシュやランニングを重ねる。今季はポスト中島としても期待され、遊撃手のレギュラーを浅村、永江らと争う。1月末に行われたラグビーのプレーオフのファイナルは秩父宮ラグビー場で、サントリーの連覇を見届けた。「人生をかけてやる。チームとしてはやっぱり優勝」。3年ぶりの復活へ、自慢の足に磨きをかける。【久保賢吾】

 ◆苦闘メモ

 一昨年は試合中に両肩を脱臼。10月に左肩の手術を受け、昨季は開幕を2軍で迎えた。5月上旬に復帰するも、7月10日のソフトバンク戦の守備中に右手首を痛め、9月に手術を受けた。2年連続で長期のリハビリを余儀なくされたが、春季キャンプは1軍に相当するA班スタート。現在は右手首の状態を見ながら、調整を進める。