<オープン戦:ヤクルト1-0阪神>◇18日◇神宮

 先発挑戦中の阪神榎田大樹投手(26)が、開幕ローテーション入りを確実にした。ヤクルトとのオープン戦に先発し5回無失点。4四球を与えながらも要所を締めた。開幕2カード目の4月2日中日戦(京セラドーム大阪)に登板する可能性も浮上。救援として虎を支えてきた左腕が「先発第6の男」となる。

 先発枠を巡るデッドヒートから榎田が抜け出した。能見、メッセンジャー、スタンリッジ、岩田、藤浪に次ぐ先発6番手の座を白仁田と争っていたが、自らの左腕で引き寄せた。強風が吹き荒れる神宮のマウンドでも崩れない。試練は1回に訪れる。先頭田中を打ち取ったが、二塁荒木が失策。1死二塁のピンチを迎えて、慎重に主軸と対する。2死一、二塁で岩村を外角低め変化球で二ゴロで打ち取り、難を逃れた。

 榎田

 内容よりもゼロに抑えることだけ考えていました。球数が多くて四球が多いのは改善しないと。1回も走者が出たときこそ、抑えないといけないから。

 5回無失点だったが4四球を与え、97球を要した。アップアップかと思いきやピンチでは大変身。球を低めに集めて、ヤクルト打線の打ち気をそらす。3回も1死満塁になったが、後続をいずれも低めの変化球で抑えてみせた。前回登板だった12日の教育リーグ・ソフトバンク戦(鳴尾浜)も5回0/3を無失点。きっちりと結果を残し続ける。指揮官もローテーション入りかと問われ、はっきりとうなずく。

 和田監督

 そうだね。本来の持ち味でゼロに抑えたからね。風も強くて影響もあったのかな。コントロールにばらつきがあるけど、それが持ち味でもある。今日は粘り強く投げていた。

 先発に向けて、まだ手探りの状態だが、常にベストを尽くす。この日の試合前練習。外野からフリー打撃に目を凝らした。風向き、打球の角度…。「風が強くてフライが伸びる。ゴロを打たせた方がいい。低めに投げていこう」。プラン通りに投球できるクレバーさも左腕の大きな武器だ。

 榎田

 大事な時に力を入れる。力の配分で投げられて良かった。初めて中5日で投げさせてもらって、今までと違う感覚。1日しかブルペンに入れず、調整するのが難しいですよね。

 試合ではペース配分を考える余裕もみせた。初々しく話す榎田は地力がある。安定感を生かして先発枠に滑り込んだ。【酒井俊作】