<イースタン・リーグ:ロッテ6-1日本ハム>◇11日◇QVCマリン

 「投手・大谷」がホロ苦デビューだ。日本ハム大谷翔平投手(18)が投手として公式戦初先発した。制球に苦しみ、4回5安打3失点(自責2)で初の敗戦投手となった。実戦で初めてチェンジアップを投げ、最速は152キロをマーク。高卒新人らしからぬ迫力あるボールもあったが、一方で課題も浮かび上がった。次回は20日のイースタン・リーグチャレンジマッチ、フューチャーズ戦(鎌ケ谷)の先発が濃厚だ。

 鮮烈な1軍デビューを飾った「打者・大谷」とは、表情が違った。試合後は反省ばかりが口を突いた。「(自己採点は)けっこう低いと思う。これから上げられるようにやっていきたいです。今のままじゃダメ。すごく危ないボールもあった」と自分に厳しかった。

 午前6時に起床し、1軍宿舎を出発した。二刀流に挑む者だけに課せられる過酷な環境だ。開幕から1軍に同行し、ナイターに体が慣れていた。「ちょっと(体が)起きてなかった」。ランニングメニューを多くして臨んだが、立ち上がりは苦しんだ。初回無死一塁から、けん制悪送球で二塁に進め、内野ゴロに失策が絡んで先制を許した。2回2死満塁からは150キロ直球を荻野貴に中前へ運ばれ、2点を追加された。「抑え気味でいったが、逆に緩みすぎた」と振り返った。

 それでも簡単には崩れない。3回から、体が横振りになっているフォームの修正も兼ねてカーブを増やした。この日最速の152キロ速球との緩急差は50キロ以上。4回には高浜を低めに抑えの利いたカーブ、チェンジアップで追い込み、最後は内角148キロの直球で空振り三振。「打者もびっくりするかなと思うし、ストレートもまた違ってくる」と手応えを感じ取った。

 栗山監督は「うまく抑えちゃうとよくない。今は課題がはっきりすればいい」と言った。ナイターの楽天戦では起用しなかったが、QVCマリンから東京ドームに移動して1軍に合流した大谷の姿に「無理なスケジュールで行かせてる。疲れもあるように見える」と擁護した。

 今後は再び野手として出場を続けながら、20日のフューチャーズ戦で2度目の先発マウンドに立つことが濃厚。「最初から思ったようなボールが投げられれば。勉強しながらやっていきたいです」。対照的な船出となった“2人の大谷”だが、挑戦はまだ始まったばかりだ。【本間翼】