<オリックス4-2ソフトバンク>◇8日◇京セラドーム大阪

 右手を腰に当てたまま思わず足でマウンドを蹴った。2敗目を喫したソフトバンク寺原隼人投手(29)は、3回の被弾を悔やんだ。「最少失点でと思ったが本塁打という最悪の結果になってしまった」。1点を献上後、さらに無死一、三塁で糸井に甘いフォークを右中間席まで運ばれる3ラン。一瞬で4点を失ってしまった。

 昨年まで在籍した古巣と今季初対戦。慣れ親しんだ京セラドーム大阪のマウンドに立ったが…。気合が空回りした。「力んだ。古巣ということもあったかもしれない」。ただ“敵”は相手打線だけではなかった。

 同球場のマウンドは自軍先発の要望に応じて硬さが調整される。寺原は昨季「軟らかくしてください」とリクエストしていた。左足を滑らす感じでバランスを取るためだ。3月のオープン戦、WBC仕様で硬いマウンドだったヤフオクドームで苦戦。足が突っ張る怖さがあり、歩幅を狭めて投げていたほどだ。

 ところが今回、ドーム側は松葉のために硬いマウンドを用意。球場関係者によると、去年までと土も異なり、硬く感じるという。1回裏、寺原は初球を投げるまでに36回もマウンドに「キック」を見舞い、足場をほぐしていた。

 「マウンドが気になったとかはない」と言い訳しなかった。それでも“ビジターの洗礼”からか、今回も歩幅は狭くなっていた。「前半は後半より半歩小さかった。そのぶん、上半身に頼ってしまった」。1、2回ともピンチを招き、3回に大量失点。10安打されながらも今季チーム初完投しただけに「あの回はもったいなかった」。チームは4連敗で4位に転落。マウンドのせいだけではないが、土を蹴りたくなる心情も分からなくはない。【大池和幸】