<ヤクルト0-5阪神>◇10日◇松山

 虎が巨人に1・5ゲーム差と迫ってきた。阪神ランディ・メッセンジャー投手(31)がヤクルト打線を散発5安打に抑えて今季2度目の完封勝利。ハーラー単独トップの5勝目をマークした。打っても5回に走者一掃の先制適時二塁打を放ち、和田監督に「今日はメッセの日だね」とまで言わしめた。チームは金曜日7連勝と、まさに「花金」だ。

 自己最多142球を投げきったメッセンジャーは赤鬼のようだった。湯気が出そうなほど顔を上気させていたが、ヒーローインタビューでは興奮を抑えていた。「今日は何球投げようと気にしてなかった。チームが勝てばそれが一番。記録も素晴らしいが、チームが勝てるよう投げていきたい」。

 試合開始直前まで雨が降ったりやんだりで、マウンドの軟らかさを気にするかのように、何度も足場をならす。「踏み込むところに大きな穴ができていた。どう修正するかだったが、うまく投げられたよ」。試合途中からプレートに足を置く位置を一塁側に寄せ、足場を気にしなくなってからは制球が安定。110キロ台のカーブも効果的だった。8回まで129球を要しながら、志願の続投だった。

 投げるだけでなく、決勝点もたたき出した。5回1死満塁。石川の高め直球を強振し、中堅比屋根の頭上をはるかに越える走者一掃の適時二塁打。キャンプの投手陣フリー打撃で藤浪の2本塁打が話題を呼んだが、3本の柵越えを放った打力が燕をはたき落とした。

 野球だけでなく、生活スタイルも日本に溶け込んでいる。2月キャンプ中。ラーメン好きで知られる助っ人は、熱心なファンからおすすめのラーメンを、突撃取材を受けた。困惑することもなく、通訳を通じ答えた。「横浜の家系ラーメンがおいしいですね。家系といってもいろいろあるんですけどね。他には…」と、話題は尽きなかった。日本でプレーし、活躍する。そんな決意の表れが伝わってきた。

 東京ドームで3連勝した首位巨人がDeNAにサヨナラ負けし、ゲーム差は1・5まで縮まった。チームの4連勝を呼び込んだ助っ人右腕は、昨季から続く自身の登板試合の無敗記録を11に伸ばした。【山本大地】