<ヤクルト7-11阪神>◇11日◇松山

 阪神猛攻撃の流れをつくったのはリードオフマンの西岡剛内野手(28)だった。逆転された直後の3回。2点を追う展開で左前に運ぶ。大和の三塁へのゴロで駆けだし、宮本の一塁送球を見届けると、猛然と加速して三塁を目指した。視界にとらえたのはがら空きの三塁ベース。一塁から三塁に転送されたが、間一髪セーフになった。相手守備網のスキを突く好走塁だった。「チームが逆転されたところ。6、7回なら走っていない。序盤だったので、今日の試合は動くかなと。チームを活気づけられたかな。点も入ったし、自分なりにいい走塁をできた」と納得の表情だ。

 激走に触発された打線は直後に爆発し、4点を奪取。再逆転に成功だ。足だけではない。バットも、まるで打ち出の小づちのように安打を量産。1回に左前へ運んだのはプロローグにすぎない。3回の左前打に続いて4、6回も左翼に単打を重ねる。8回は右前へ。面白いように快音を発し、5打数5安打4得点だ。ロッテ時代の10年5月22日ヤクルト戦以来、3年ぶりの5安打。それでも「たまたまだと思う。1日5安打して、2勝、3勝になるわけじゃない。うれしいですけどね。今日1日は1日で切り離して考えたい」と冷静だった。

 この日、大阪桐蔭の後輩でもある藤浪が故障離脱。これまで奮闘してきたルーキーの心境を思いやる。「いろんなプレッシャーのなかで彼も戦ってきた。長い野球人生で経験。慌てる必要はない。アイツが戦力なのは間違いない」。チームは5連勝で貯金は今季最多の8。藤浪が戻ってくる日まで先輩として必死にチームをもり立てる。【酒井俊作】