<ロッテ1-7阪神>◇23日◇QVCマリン
勝負の分岐点を制した。3回にリードを2点に広げてなおも2死満塁。阪神新井良太内野手(29)が狙ったのは初球だった。唐川の133キロ速球を豪快にフルスイング。左翼フェンス直撃の二塁打で走者を一掃した。
「点が欲しかったんで。コンパクト、センター返しを心がけました」
今季の猛虎打線を象徴するデータがある。チームの満塁打率はこれで45打数16安打41打点。打率はリーグトップの3割5分6厘だ。昨季は1割8分9厘で最下位。塁が埋まった状況を歓迎できるか、逆に押しつぶされるか。昨季との差がそのまま得点力、順位にも現れている。水谷打撃コーチは打者心理を交えて、こう説明した。
「お兄ちゃんもそうやけど、走者をかえしたいっていう思いが強すぎるんや。その前の段階。自分のタイミングで、打てる球を打つことが大事。それをキャンプからずっと、あの2人には言ってきたんや」
チームと同じく、新井良も昨季は満塁で8打数1安打、打率1割2分5厘と金縛り状態だった。2三振を喫し、併殺打も打った。だが今季はこれで7打数3安打、打率4割2分9厘。舌なめずりできるようになったとまでは言わないが、少なくとも自分のスイングを見失うことはなくなった。この日も、球持ちが長く、球速以上に体感が速いといわれる唐川の直球を自分のタイミングでとらえた。冷静だったかと問われ「どうですかね」と首をひねると「でも、やっぱり走者がいたら、興奮しますよ。結果が出て、それを自信にして、バランスを取りながらやれているんじゃないですか。そんなに簡単ではないと思うんで」と続けた。
勝敗は紙一重。そんな世界に生きる新井良は簡単に変身など認めない。この謙虚さが、また、頼もしい。【鈴木忠平】
▼新井良が3回2死満塁で走者一掃の二塁打。5月6日巨人戦から満塁では4打席連続で打点を挙げ、満塁打率は4割2分9厘。満塁での10打点は、中日和田と並びセ・リーグ1位だ。



