<阪神4-7楽天>◇28日◇甲子園

 楽天が「逆転の虎」のお株を奪う逆転勝ちで、シーソーゲームを制した。決勝打は島内宏明外野手(23)。9回、同点に追いつきなお1死二塁から代打で守護神久保から左越え三塁打を放った。「阪神も粘りがあったけど、みんなあきらめていなかった。そういう気持ちが僕に乗り移ったかなと思います」と笑った。この日、母校明大が東京6大学野球で3季ぶりに優勝。試合前に吉報を聞き、「メイジが優勝して『よし!

 いくぞ』という気持ちで打席に入りました」と、先輩の意地があった。

 明大4年時が転機だった。「就活するつもりでした」と、故郷の石川・小松で生まれた大企業コマツへの就職を考えていた。素質にほれ込んだ松岡寮長、善波監督に「プロを目指せ」とハッパをかけられ、考え直す。「善波監督は僕にだけ、ティーを上げてくれて。『あと1年、頑張れ』と。練習しなきゃ、部をやめさせられそうなほどでした」という熱意に触れ、サラリーマン志望が揺らいだ。ついには、リーグ戦前に「2試合続けてマルチ安打を打てたら、プロを目指します」と宣言。そして実現し、プロ志望を決めた。

 50メートル走6秒を切る俊足だが、昨季から走塁ミスが目立つ。明大の先輩でもある星野監督には「あいつはミスが多すぎる」とボヤかれる。だが島内は「落ち込んではいられない。また前を向いてかないと」。明大ラグビー部のポリシーでもある「前へ」。気持ちが実った。【斎藤庸裕】