<ソフトバンク3-11巨人>◇16日◇ヤフオクドーム

 巨人内海哲也投手(31)が、ようやくプロ通算100勝を飾った。投球スタイルの原点でもある「クロスファイア」で、攻めの投球を貫いた。好調ソフトバンク打線に3失点したが完投勝利で5勝目、チームを4連勝に導いた。

 ホッとしたような笑みを浮かべ、内海はウイニングボールを受け取った。最後は連打を食らったが、3失点で完投勝利。「野手のみなさんが、なんとしても勝たせてやろうと思って攻撃してくれてるように思えた」。味方の大量援護を意気に感じて投げた。

 王手をかけてから4試合、足踏みした。「2敗目くらいからちょっとやばかった。負けた日の夜は、やけ酒のオンパレードでした」。いつもなら分かる修正ポイントも分からなくなっていた。「リラックスして投げるくらいしか思いつかない」と、悩んでいた。

 思い悩んでいた時、杉内が声をかけてくれた。「自分もそうだった。でも、自分で乗り越えるしかないんだよね」。もう1度、自分の原点を見直した。阿部と話し合い「右打者の内角直球を多めに使おう」と結論に達した。代名詞のクロスファイア。それを軸に、本来の姿を取り戻した。

 「まさか僕が100勝できるなんて」とこれまでの道のりを振り返った。だが、すぐさま「あと100勝てるように頑張ります」と付け加えた。母の日に王手をかけ、父の日に100勝。「僕も父親。恥ずかしい姿は見せられなかった」。子どもたちに父の威厳を見せる機会は、まだまだある。【竹内智信】

 ▼内海がソフトバンク4回戦(ヤフオクドーム)で今季5勝目を挙げ、プロ野球131人目の通算100勝を達成した。初勝利は05年4月9日の中日2回戦(東京ドーム)。巨人で100勝以上は16人目だが、左腕では中尾209勝、高橋一110勝に次いで3人目になる。内海は5月12日に99勝目を挙げた後、19日●、26日勝敗なし、6月2日●、9日●、16日○。王手から3連敗以上して100勝を達成したのは84年柳田(近鉄=4連敗)以来で、巨人では初の難産100勝だった。