巨人は28年の時を越え、真っ向勝負する。今日3日からヤクルトとの2連戦を迎え、プロ野球記録のかかるバレンティンに挑む。原辰徳監督(55)は「正々堂々とね。勝つことが目的。我々は優勝するためにやっているわけだから」と勝負を誓った。

 28年前に、記録への闘争の当事者となった。54本塁打を放っていた阪神バースとの勝負を避けた。最終戦先発だった斎藤投手コーチは防御率のタイトルがかかっていた。当時の王監督から直接指令はなかったが、ベンチ内では勝負するなという空気に満ちていたという。2四球1安打で新記録は防いだが、自身のタイトルは手にできなかった。

 複雑な過去を味わった斎藤コーチは「むやみに歩かせるつもりはない。もちろん絶対に打たれてはいけない場面でそうなるかもしれない。でも今はどう考えても防ぎようがない。うちだけ勝負を避けてもね。そういうのに関係なく、巨人が勝つためにどうするか」と勝利を優先しながらも勝負を追求する方針を示した。

 現役投手も、その考えに追随する。3日先発の内海哲也投手(31)は今季は9打数1安打と封じ込んでいる。「逃げる必要はない。結果、四球になって逃げていると思われるのはしょうがないが、勝負しに行く」。前回対戦で43号を浴びた宮国も「チームが勝つことが一番だけど、勝負したい」と言った。

 攻める姿勢を見せなければ抑えられない。斎藤コーチは「宮国は打たれる覚悟で勝負するところは勝負しないと。直球で懐を攻めてカーブ、スライダーで空振りが取れれば。内海は牛耳るタイプじゃないが、うまく抑えている」と期待を寄せた。優勝へのマジックが19の巨人は怪物から逃げない。【広重竜太郎】