<楽天10-11ソフトバンク>◇18日◇Kスタ宮城

 大逆転だ!

 2位浮上だ!!

 ソフトバンクが終盤に奇跡的なうっちゃりを演じた。5回を終えて2-8と敗色濃厚ながら反撃を開始。8回に江川智晃外野手(26)が1点差に迫る12号2ランを放つと、9回には再び江川が決勝の押し出し四球を選んだ。最後は救援陣が冷や汗をかいたが、何とか逃げ切り。今季最大となる6点ビハインドからの逆転勝利で、ロッテを抜いて6月28日以来の2位に浮上した。

 ウイニングボールをつかんだクールな中村が、思わずバンザイをするほどの大逆転劇だった。就任後、初めて6点以上の差を逆転した秋山監督は「打つ方が頑張ったな」と、打線の驚異的な粘りをたたえた。

 8回、1点差に迫る江川の1発が効果的だった。青山の内角シュートに対し、肘をうまくたたんでコンパクトに振り切った。高く舞い上がった打球は、楽天ファンの悲鳴とともに左翼席ポール際に落ちた。

 江川

 練習でもしたことがないようなバッティングだった。スライダーが来ると思い、シュートが来てもボールと思ったが体が勝手に反応した。あれはまぐれですね。

 一時は不振に陥った右の大砲候補が、4試合ぶりのスタメン起用に応えた。長谷部を攻め立てた9回には内川の内野安打で追いつき、なお2死満塁で再び打席に立った。フルカウントから内角ボール球を見極め、ついに逆転。「あそこの見極めは自信があるので」と江川は続けた。

 前日は寺原が崩れてまさかの逆転負け。首位の背中がさらに遠くなった。それでもまだ、奇跡を信じている。試合前の円陣で、ゲキが飛んでいた。声出し担当の江尻が叫んでいた。

 「まさかあきらめてんじゃねえだろうな!」

 投手陣で最年長36歳の言葉が、ナインの脳裏にこびりついていた。5回2死までハウザーに無安打と沈黙。だが江川は「点差があっても何かかえせるんじゃないと思っていた」とベンチの雰囲気を明かした。

 先発陣の不安さは相変わらずだが、それを補うだけの強力打線は健在。藤井打撃コーチが「よく逆転した。大したもんだ。点差関係なく、みんな自分の打撃をしてくれた」と言えば、藤本打撃コーチも「打線は後半は100点満点」と全員の粘りをたたえた。

 7回に代打ペーニャが3試合連続安打となる適時打を放つなど、CSに向けた明るい材料も見え始めている。本拠地でCS開催となる2位に浮上。楽天とは7・5差もあるが、可能性がある限り、頂点を目指して戦い続けるだけだ。【大池和幸】

 ◆ソフトバンクの6点差逆転

 ダイエー時代の03年9月14日オリックス戦以来。このときは、初回に6失点。1-7の4回、一挙7得点で逆転。最終的には20-11の乱戦だった。