ソフトバンク大石大二郎ヘッドコーチ(54)と高山郁夫投手コーチ(51)が退団することが5日、分かった。2年連続でV逸し、クライマックスシリーズ進出(CS)をかけたシーズン最終盤でも競り負け、秋山体制で初のBクラス4位に沈んだ責任を取る形となった。助っ人外国人の大幅入れ替えもあり、V奪回へ早くもテコ入れが始まった。

 いちるの望みをかけた今季リーグ最終戦で日本ハムを下しながら、西武と1ゲーム差でCSを逃した。V逸に続く、2度目の“敗退”。孫オーナーに常勝軍団を命じられた球団は「4位は惨敗」ととらえ、来季に向けて動きだす。まずコーチ2人の退団が決まった。

 09年までオリックス監督だった大石ヘッドは秋山監督の2年目の10年から参謀として就任。選手と指導者でパ・リーグひと筋の経験を買われた。指揮官を立てるため、外部に向けた発信はなかったが、戦術上のサポート役となった。

 バントや走塁面の作戦を積極的に取り入れ、得点力アップに尽力。ベテランや外国人選手にも盗塁のスタートを切ったふりをさせるなど徹底した。日本一にもなった11年は、チーム盗塁数はリーグ最多180個と、2番目に多い楽天を50個も引き離した。4シーズンで日本一1回、リーグ優勝2回、交流戦優勝2回と力を発揮したが、ここ2年は3、4位。特に今季は1点差負けが26試合と競り合いで攻守ともタフさがなかった。リーグ戦終了をもって、責任を取る形で退団となった。

 また、高山コーチも退団する。秋山体制となった09年にチーフ格となった。屈強な先発陣にチームを引っ張らせ、摂津、ファルケンボーグ、馬原とつなぐ勝利の方程式「SBM」でゲーム終盤を締める王者の戦い方を築いた。

 しかし、今季は先発ローテーションの確立に苦心。開幕前は2チーム分を編成できるほど駒がそろい、優勝候補に推された。ところが、不振や故障が頻発し、開幕ローテのうち摂津を除いた山田と武田、大隣、山中、パディーヤは通年稼働できず。18投手が先発マウンドに上がり、中には森福や嘉弥真、金無英などブルペンから人繰りをつけたことも。チームの先発防御率4・14はリーグワースト2位。同じくリリーフ時が2・72とリーグ唯一の2点台だけに、序盤でゲームが壊れる場面が多く、安定した戦いができなかった。

 2年前の秋は栄華を極めたソフトバンクが、秋山体制で初のBクラス。厳しいテコ入れで、チーム再建に取りかかることになりそうだ。