中日のドラフト5位、トヨタ自動車・祖父江大輔投手(26=愛知大)は、キャラメル王子だった。3日、愛知・豊田市内で契約金4000万円、年俸1200万円で仮契約を結んだ。即戦力右腕は親戚、家族が名古屋市内で「日邦製菓」を営む「華麗なる一族」。主力商品のキャラメルは地元では有名だ。同社の看板を背負ってプロ入り。出世して、商品アピールももくろむ。

 お近づきのしるしは甘~いキャラメル!?

 仮契約を終えた祖父江は日刊スポーツから贈られた祝いの品を見て「これ、うちのじゃないですか!!」と仰天した。

 最寄りのスーパーのお菓子コーナーでも定位置に鎮座する日邦製菓(本社・名古屋市)の「コーヒーキャラメル」(300グラム=338円、税込み)は、何を隠そう、祖父江一族が営む同社の主力商品。父明彦さん(56)は工場長だ。愛知の子どもたちなら1度は口にしたことのある甘い逸品だ。

 「イチ押しはミルクか黒ごま味です。大学の時からオヤジが持たせるので、野球部はみんな食べてました」

 キャラメルは14種類以上ある。トヨタ自動車時代もグラウンドに差し入れられ、古巣にやって来た中日吉見も口にしたことがあるという。これからはキャラメル王子として日邦製菓も背負って投げる。好投を続け、知名度を上げていけば宣伝費ゼロで同社製品を世の中に広げることができる。「少し照れくさいですけど有名にしたいですね」と静かに意気込んだ。

 マイカーはもちろんトヨタ車。プロ入り後も、4年間お世話になった同社の愛車に乗り続けるという愛社精神にあふれた好青年。当然、日邦製菓のキャラメルのためにも頑張る。使い道は多彩だ。担当の中原スカウトは「沖縄キャンプで売れないか?」と早くも思案顔。お近づきのしるしにと入寮時に忍ばせることも、お立ち台からファンサービスで配ることだって…。夢を売るプロ野球。結果を出せば何でもOKだ。

 それだけのパワーを秘めた即戦力だ。中田スカウト部長はフィールディングやけん制などのセンスも含め、同じ愛知出身の浅尾に重ねるほど。祖父江は「1軍に上がってナゴヤドームで投げるのが目標です」と言い、中継ぎとして1年目からのブレークを狙う。マスクも甘いが、球は最速152キロと激辛。キャラメルのように甘~いと思ってなめたら、相手打者は必ずや痛い目に遭うはずだ。【八反誠】<祖父江大輔(そぶえ・だいすけ)アラカルト>

 ◆生まれ

 1987年(昭62)8月11日、名古屋市出身。

 ◆球歴

 名古屋市立明正小では軟式の「中川青葉」、富田中では愛知西シニアに所属。愛知高、愛知大を経てトヨタ自動車でプレー。甲子園出場歴はなし。

 ◆球種

 ストレート、スライダー、チェンジアップ。

 ◆チームメート

 中日赤田と大学時代にバッテリー。

 ◆好きな芸能人

 ベッキー

 ◆愛車

 トヨタの4駆

 ◆家族

 父、母、姉。

 ◆サイズ

 175センチ、78キロ、右投げ左打ち。

 ◆趣味

 社会人野球の名鑑では「キャラメルの押し売り」。本人は「チームメートに勝手に決められました」と説明。本当の趣味はドライブ。