楽天田中将大投手(25)が、早ければ日本時間17日にメジャー移籍について球団と会談する。同12日、日本野球機構(NPB)と大リーグ機構(MLB)で基本合意している新ポスティングシステムが同日に成立し、正式発表される見通しとなった。制度の正式決定を待っていた楽天球団と田中の話し合いは、すぐにでも行われる見込みだ。ウインターミーティングに参加中の楽天立花陽三社長(42)は、あらためて残留を望む発言をしたが、田中が一体どんな意思を示すのか。長く停滞してきたマー君のメジャー問題が、いよいよ具体的に動き始める。

 ようやく事態が動く。NPB井原事務局長はこの日、「MLBから週明けに協定をファイナライズ(最終決定)したいと連絡があった」と明らかにした。NPB側はすでに12球団の了承を得ているが、16日の実行委員会で最終確認を行う。MLBは、この翌日となる米国時間16日(日本時間17日)にセリグ・コミッショナーと8球団のオーナーによる電話会議を開いて承認する予定。これで正式に成立となり、発表される。同時に田中の移籍申請手続きが可能になる。

 これを受け、同日にも田中と楽天球団が話し合うことになりそうだ。ウインターミーティングに参加していた立花社長は現地時間12日早朝、帰国の途に就く直前、取材に応じた。制度締結が見えたことに「今お話を聞いたので東京に戻ってから」と言い、早期の会談については「そうですね。彼の予定も聞いていないし、僕も予定がある。少なくとも17日までは(仙台に)帰りますけど、今の段階で言える日はありません」と、慎重に答えた。かねて制度の正式決定後に、田中の意思を確認する考えを示していた。

 同時に、残留を要請する考えも強調した。「球団としては彼に残ってほしいと、まずは交渉できる場。システムを使って出すか出さないかは球団に権利がありますが、彼の意向は昨年の末以来聞いていない。それを確認した上で(三木谷)オーナーと話すのが順番です」。現状での感触については「本当に話していないのでまったく。彼にはしっかり誠意を持って話したいと思います」と語った。

 当初、球団は田中のメジャー移籍を容認するとみられていた。だが、移籍金の上限が2000万ドル(約20億円)に設定されると、残留を望む声が出るようになった。9日には、米メディアの電話インタビューに応じた三木谷オーナーが「ポスティングにかけるつもりはない」と発言した記事が掲載された。さらに、その記事を同オーナーが自らのツイッターに転載。真意は明らかでないが、球団トップが残留を期待している様子がうかがえる。

 ただ、田中の場合は、本人の意思が大きな意味を持つ。昨オフの契約更改で、将来的にメジャー挑戦する意思を確認し、球団側も理解を示している。こうした経緯もあり、球団も田中の意思に重きを置いている。田中がどのような考えを示すかで、今後の行方は大きく変わってくる。

 立花社長は「遅くなるほど、我々の球団も編成が決まってくる。1日も早く決めなくては、というのは変わらないです」と話している。日米両球界が注目する決断の日が、いよいよ近づいてきた。(レークブエナビスタ=四竃衛、佐藤直子通信員)

 ▼昨オフの田中の契約更改

 12月22日に、球団と3年12億円(金額は推定)プラス出来高払いの複数年契約を結んだ。ただし、1年ごとにシーズン終了後、複数年契約を途中で打ち切って、ポスティングシステム(入札制度)によるメジャー挑戦を行うか、球団と話し合うことで合意した。