楽天田中将大投手(25)が、新ポスティングシステムを利用してのメジャー挑戦を球団から容認された。25日、立花陽三球団社長(42)がKスタ宮城で容認会見を開き、同日、日本野球機構(NPB)に申請を行った。楽天が上限2000万ドル(約20億円)で設定した譲渡金を通知し、今後はメジャー10球団以上が獲得に乗り出すとみられる。

 世紀の決定を告げる立花社長は、カメラのフラッシュに顔をこわばらせながら言った。「当初から一貫してお話ししてきました通り、球団といたしましては、新たなポスティングシステムには多くの問題があると思っております。また、上限20億円という金額設定も、不明確なものであり、大切な選手を保有する球団といたしましては、極めて不平等なシステムだという考えは変わりません」。

 新制度への不満を前置きし、会見場の緊張感を誘った。が、一気に続けた。「しかしながら、今シーズンの日本一はもちろん、入団以来7年間の田中将大選手の貢献を、球団は高く評価しています。そういった点を十分に考慮し、三木谷浩史オーナーは今回の田中選手のメジャー挑戦の希望を容認し、ポスティングシステムの申請を行う決断をいたしました」と、エースを手放す決意を語った。

 球団としては苦渋の決断だった。譲渡金として、昨年まではなかった上限ができた。しかも2000万ドル(20億円)。田中放出の見返りとしては、圧倒的に低い上限だ。経営陣がためらうのは当然といえる。同社長は会見で「もう最後はオーナーの英断だと思います。これは議論しても埋まらない金額ですから、これはもう誰かが決断するということだったと思います」と、熟考を重ねた末の結論と話した。立花社長によれば、最終決断は、前日の夜に三木谷オーナーとの電話で下されたという。【金子航】