苦悩よ、さらば！
広島堂林翔太内野手（２２）が日刊スポーツの直撃インタビューに応じ、今季にかける熱い思いを激白した。昨季は８月に左手を骨折し、打率２割１分７厘、６本塁打と不本意だった。１４年は苦悩タイプだったメンタル面の改善から、三塁レギュラー再奪取を狙う。
堂林はどこか吹っ切れた表情でキャンプ、オープン戦を振り返り始めた。
堂林
いい部分も悪い部分も出た。シーズンに入ればリセットして、やっていることを続けるだけです。
オープン戦では一時は首位打者に立ちながら、最後の３試合は１０打数無安打で９三振。開幕中日戦は右腕川上が相手先発で、先発出場は厳しい情勢だ。それでも意図的に表情から苦悩の色を消し去ろうとする。
堂林
僕の悪いところは切り替えができないというか、完全にメンタルなんで。今年はそこを意識してやりたい。去年は練習中から考え続けてモヤモヤしながら終わっていった。練習でも打球が飛ばなくて、ストレスがたまっての繰り返し。でも今は練習で納得いくスイングができる時はある。去年みたいに悪くはないと思っているので。
苦悩しすぎるタイプだと自己分析する。もともと練習の虫。あとはどれだけ心をコントロールできるかがひとつのテーマとなる。
堂林
どうやったら良くなるんだろうと考え込んでしまう。理想が高い？
それが多分ダメでドツボにはまる原因なんです。いろんな人に聞いても、完璧主義はあまり良くないらしいんで。僕、考え過ぎると頭が痛くなっちゃうんですよ。三振ばかりしている時もずっと頭が痛くて。頭を使い過ぎているから、試合が終わったらバスの中ですごく眠くなる。でも打てている時は体が全然疲れなかった。今年は体力がついたのかなと思ったぐらいで。どうつながるかは分からないけど、その差を経験できたのは良かったと思う。
今、自戒の念を込めて昨季を振り返る。
堂林
僕の場合、ヤバイどうしようと思っていることがヤバイ。自分を客観的に見たら、こいつアホだろ、ヤバイと思いすぎだろと思う。別に３割３０本の結果を出せと言われているわけじゃないのに。去年は周りを気にしすぎていた。今はいい意味で、周りの目が気にならなくなってきました。今、去年の自分を見たら、絶対腹立ちますね。自分のやりたいことやらず、周りの目を気にしてビビって。それがどん底に陥る原因だったと思っています。
５年目の今季は自分の信じた道を突き進む覚悟だ。
堂林
キャンプ序盤はまだ芯がなかった。練習法にしてもあっちこっちに行って。でも今はこういう練習をして、終わればウエートルームに入ってストレッチとかトレーニングをして…。そういうルーティンがある。芯ってなんだろうと考えた時、毎日コツコツ同じことを続けることだと思った。前田（智徳）さんとか、自分を貫ける人はやっぱりすごい。芯がある。
苦悩は一目瞭然だったと言う。
堂林
パソコンでいい時と悪い時のフォーム映像を並べて見ても、このバッター考えすぎだなと思いますもん。考えすぎて受身になって差し込まれている。逆に打てている時は、何が来てもいいぐらいのタイミングで振れている。やっぱり僕の悪いところはメンタル。多分、僕は考えているレベルが低いというか、細かすぎるんです。例えばスタンスの幅が狭いな、いや今度はちょっと広いなとか…。でも、もっと違う部分を直せば、自然と幅が狭くなってどっしりとした構えになったりしますからね。
昨季は８月に左手を骨折してシーズン終了。チーム初進出となったＣＳの舞台にも立てなかった。
堂林
今年は１年間ケガなくやる、それだけです。チームのことを考えるのは大事だけど、考えすぎるとまた縮こまってしまうので。以前、琢朗さん（石井守備走塁コーチ）から言われたんです。打てなかった時に「オマエ、責任感じるんか？」と。感じますと言ったら「オマエは感じなくていいんだよ」と言われた。自分はまだチームを背負える立場じゃない。自分が良くなれば、自然と勝利に貢献できているだろうと考えるようにしています。
マツダスタジアムでのナイター練習では右翼も守った。あくまで三塁レギュラー再奪取が大目標だ。
堂林
もちろん、僕はサードで出たい。だから思い切ってサードでめちゃくちゃ練習しています。でも守る時に不安になったらピッチャーに申し訳ないんで、しっかりライトも練習しています。目標は１４４試合出ること。そこを目指さないと意味がない。
もう必要以上に落ち込まない。自分を信じて突き進む。堂林は１４年、ひと皮むけようともがいている。【取材・構成＝佐井陽介】
◆開幕三塁の行方
開幕三塁争いは現時点でドラフト３位田中が優勢。調子を落としてオープン戦打率２割６分３厘の堂林に対し、田中は打率３割３分３厘。開幕戦の相手先発が右腕川上という点でも田中が有利だが、野村監督は「明日の打撃練習を見て決める」と今日２７日に最終結論が出る。
