<オリックス3-8日本ハム>◇16日◇京セラドーム大阪

 むき出しにした感情は、悔しさだった。日本ハム上沢直之投手(20)が大記録を樹立する自身3連勝を飾った。初完封に手が届きかけた7回。安打、2ラン、ソロと立て続けに打ち込まれた。結果は7回3安打3失点でプロ3勝目。日本人投手のプロ初先発から3戦3勝は球団初も、どこか不満げだった。「(本塁打)1本くらいはしょうがないけど2本目は今後のゲーム展開につながってくる。反省しないといけない」と唇を結んだ。

 迫り来る快挙の壁は高かった。6回まで無安打の快投に、イニングごとに先輩たちからのヤジが大きくなったという。「3人で毎回終わっているな~くらい。あまり意識はしなかった」。3失点目の本塁打を献上すると奥歯をグッとかみしめた。「もともと記録とか持っていないし、記録を意識出来る選手じゃない」。つかみかけた大記録に、あと1歩届かなかった。それでもチームの勝ち頭の3勝目。栗山監督は「必死さが出ている」と若き新戦力の健闘をたたえた。

 大きな野望が心の支えになっている。プロ3年目でつかんだ先発ローテーションの一角。上沢は1年通して戦い抜いた自分に、ご褒美を決めている。「カッコイイのが良いんです」。あこがれのマイカー購入を検討中。暇さえあれば携帯電話で車のカタログを眺め、やる気をもり立てている。「すごい楽しいんです」と無邪気に笑う。飽くなき向上心が、険しいプロの道を進む原動力になっている。【田中彩友美】

 ▼上沢がデビューから3連勝。日本ハムでは大谷が4連勝中だが、勝敗なしを挟まない3戦3勝は02年シールバック以来。日本人では東映時代に救援で記録した62年尾崎以来52年ぶり。日本人投手の先発での初登板から3戦3勝は球団初となる。