<楽天12-0日本ハム>◇18日◇コボスタ宮城

 原点回帰でプロ初完封勝利を挙げた。楽天則本昂大投手(23)が日本ハム戦で9回6安打8奪三振無失点で3勝目(1敗)。変化球主体だった前回11日ロッテ戦から直球主体に変更。最後まで球威は落ちず、球数は128球で投げきった。チームの連敗は2で止まり、勝率を5割に戻した。

 則本は100球を超えてから、球速が上がった。8回2死。日本ハム3番ミランダを2球で追い込む。返球を受け、嶋のサインに首を振ることなく腕を振った。この日最速の148キロ外角低め直球で空振り三振を奪うと、淡々とベンチへ向かった。「1人ずつ抑えていこうと思った」と9回までスコアボードに0を積み重ねた。

 原点回帰の投球を見せた。前回11日は、初球から積極的に振るロッテ打線に対し、変化球を多めにまぶした。しかし6回10安打4失点。この日は一転、力勝負に徹した。2ストライクと追い込むと、打ってみろと言わんばかりに思い切り腕を振った。奪った三振8つのうち、7つを140キロ台の直球で決めた。持ち味の荒れ気味の球を、恐れずに投げた。

 変身のきっかけは登板前日、訪れた。練習中に佐藤投手コーチがゆっくりと歩み寄ってきた。「打者に向かっていく気持ちがない。お前は直球で押していけばいい。去年もそうやって勝ってきたんだ。忘れちゃあいけない」。かわす投球は早いと諭され、目が覚めた。最初から全力で腕を振ることを決めた。

 勝利への渇望は表情にも表れた。12点の大量援護にも、控えめに手をたたくだけ。試合中は笑みは見せず、集中を高めた。「前回ああいう形で逆転されたので、気持ちを緩めてはいけないと思った」。ロッテ戦で3点のリードを守れなかったことを反省。最後まで油断せず、目の前の打者を抑えることだけを意識した。

 これでチームの連敗を止めたのは今季2度目。超満員のファンを前に「疲れました、はい」とお立ち台でようやく緊張が解けた。開幕戦のプロ初完投からわずか3週間。自身初の完封勝利にも「点差もあり、今回が初という実感がない。次に1点差とかを完封出来たら実感がわいてくると思う」。いつもと変わらない笑顔の裏に、負けん気の強さをのぞかせた。【島根純】