ついに断!

 阪神福留孝介外野手(37)が10日、出場選手登録を抹消された。今日からのロッテ戦(QVCマリン)を前に、和田監督は「上でも結果の出る状態に」と期限を設定せず、実戦を積ませる方針を決めた。不振を理由に2軍落ちするのはメジャーから復帰2年目で初。昨季に続いて成績が上がらず、福留にとっては背水の夏になる。

 虎将が断を下した。投手と若手野手が汗を流した甲子園、和田監督が決意を明かした。シーズン60試合を終えて決めたのは、福留の無期限2軍調整-。策は探った。努力もしている。それでも、なかなか上昇気配が見えてこない。首位打者を2度獲得した37歳は、メジャーでも活躍した。プライドをかなぐり捨てて、復活に懸けることにした。

 和田監督

 孝介は1回作り直すというかね。今の状況では打席に立つ回数も減ってきてるし。どうやったら状態を上げるかというところでファームで数多く打席に立って。ベンチにいても上がってこないからね。

 トンネルの出口が見えなかった。ここまで39試合に出場して打率1割8分8厘、2本塁打で打点9。打率1割9分8厘に終わった昨季に続く打撃不振だった。開幕カードの巨人戦で西岡と交錯して胸部を打撲。早出特打や若手中心の練習に参加する「ミニキャンプ」を敢行したが、完全復調までは遠かった。2年目緒方の台頭もあって、6月は1試合しか出ていなかった。

 和田監督

 すぐに(1軍に)上がってきてほしいのは間違いないんだけど、そんなことをしてたら同じことの繰り返しになる。1日でも早く、上でも結果の出る状態にして。今のままじゃズルズルと、このままいってしまうから。

 大ナタを振るうには今だった。指揮官は「絶対必要な選手」と繰り返した。高い守備力と走塁技術は健在。勝負強さにもほれ込んで獲得を熱望した経緯もある。阪神だけでなくライバルももたつき、セ・リーグはだんご状態になる勢い。秋の決戦を見据えて「勝負どころというか、今どうのこうのじゃなくて、その時にいい状態にしてほしい」と期待するが、福留にとっては背水の夏。自らの存在をもう1度示さなければ、立場は危うくなる。

 ピンチは一方でチャンスでもある。和田監督は緒方ら若虎には定位置奪取のハッパもかけた。「(福留が)戻ってきても譲りませんよ、というぐらいのものをつくれるかどうか」。今季、三塁に転向した今成の右翼起用も「選択肢」とした。残り84試合、聖域なきタクトで前に進む。【近間康隆】

 ▼福留の交流戦打率1割4分8厘は、30打席以上に立った全102選手中ワースト5位の98位。今季通算は1割8分8厘で、これはセ・リーグで100打席以上の打者50人のうち下から3番目の48位。得点圏では33打数3安打、打率9分1厘。安打数の3倍近い8三振を喫している。今季チーム全60試合中、先発出場は33試合。6月に入ってからは全7試合中出場は7日オリックス戦(先発7番右翼)だけと、戦列から遠ざかっていた。