<西武3-7ソフトバンク>◇29日◇西武ドーム

 ガッチャマン時代を知らない24歳が、初代ダイエーユニホームの連敗を止めた。90年生まれのソフトバンク東浜巨投手が先発。6回を6安打3失点で今季初勝利を挙げた。亜大の先輩松田の13号3ランなど大量援護も後押し。6月を勝利で締めくくり、連敗は3でストップ。何より、2年目右腕がたくましく1軍戦線に戻ってきたことが大きい。

 3カ月ぶりにつかんだチャンスを東浜は逃さなかった。「何としても勝ちたかった。勝ててよかった」。6回、105球、3失点。初回には1軍で最速となる147キロをマーク。昨季の140キロ前後しか出ず、変化球でかわそうとする姿とは違っていた。秋山監督も「球が強くなってきている」と褒めた。

 3点目を失った5回、2死一、二塁で代打中村を迎えた。強気に内角高めへ直球勝負。空振り三振を奪いガッツポーズ。青く染まるスタンドを黙らせた。初代ダイエーのユニホームは2歳まで。「記憶にないですね」。弱いダイエーのイメージを吹き飛ばした。

 スタンドには母校亜大野球部の全部員約100人と恩師の生田勉監督(47)が応援に駆けつけた。プロ入り後、投球を恩師に見せるのは初めてだった。東浜は「力になった。幸せなこと」と後押しを受けた。

 今季は禁酒を続けている。登板3日前の26日には亜大OBの松田、高田と立川市内にある亜大時代からなじみの焼き鳥店で食事をした。大学時代は泡盛をコーラで割り飲んだ。酒豪ではないが、学生時代一番気を許した場所でもアルコールを口にしなかった。

 昨オフはプエルトリコのウインターリーグで修行。苦手な外国人打者と真っ向勝負。治安の悪さも経験に変え、自信を持って今季に臨んだ。オープン戦では3試合で1失点も、開幕6戦目の日本ハム戦に先発し5回4失点で降格。巨大補強の壁にも阻まれ、ここまで2軍暮らしが続いた。

 「悔しいですよ。(ここで)お酒を飲むとずるずるいきそうなので」。折れそうな気持ちの中、逃げずに筋力、下半身強化を続けた。19日ウエスタン・リーグ中日戦では148キロ。「150キロもいけますかね」。亜大時代の最速152キロへの回復も手応えはある。「うれしいというよりここからがスタートです」。次回登板は未定ながら、昨年3勝のドラ1右腕が、後半戦の大きな力になる。【石橋隆雄】