お得意さん、いらっしゃい!

 中日和田一浩外野手(39)が大補強の巨人に宣戦布告だ。22日、名古屋市内の球団事務所で契約更改に臨み、7000万円ダウンの年俸3億3000万円プラス出来高払いでサイン。今季の打撃不振から巻き返しを期す主砲だが、巨人入りした杉内攻略に自信アリだ。西武時代から好相性を誇り、ベンちゃんがG倒の旗頭になる。(金額は推定)

 約30分の交渉を終えた和田は吹っ切れた表情だった。今季は131試合の出場で打率2割3分2厘、12本塁打、54打点。スタメンに定着した02年の西武時代からワーストと言える成績だった。来季の年俸は7000万円(17・5%)減の3億3000万円。大幅な減俸となったが冷静だった。

 「自分が想像していたよりは下がらなかった。制限いっぱい(野球協約に規定されている40%)のダウンも覚悟していた。優勝したけど貢献できなかった。数字のまんまです」

 穏やかな表情が一変したのは、話題が大補強を続ける巨人に及んだときだ。20日に優勝旅行から戻ると、ライバルチームの陣容がガラリと変わっていた。横浜から移籍した村田に加え、ソフトバンクからホールトン、杉内が巨人に加入。竜の主砲は、そんな動きに敏感に反応。強い口調で言葉を並べた。

 「負けたくないですね。確かに負けたくない。新聞などで(巨人は)優勝候補に挙げられるだろうけど、強いチームには絶対に負けたくない」

 3度も繰り返した「負けたくない」という言葉。今季の成績がその気持ちを強くさせたことは間違いない。だが、和田には追い風になる数字がある。杉内とは西武時代からレギュラーシーズンで通算打率4割2分6厘の3本塁打。ホールトンも対戦こそ少ないが6打数3安打、1本塁打と相性が良い。

 「3連覇はファンの方が望んでいる。立場上、僕がしっかり仕事をしないと、(3連覇は)見えてこない」

 今季苦しんだが、ソフトバンクとの日本シリーズでは本塁打を放つなど、その存在感はチーム屈指。来季はプロ16年目。不惑を迎える主砲が、巨人の新戦力を餌食に復活する。【桝井聡】