<神宮大会:東海大5-1関西国際大>◇3日目◇15日◇大学の部準々決勝◇神宮

 大学の部では、東海大(関東5連盟)が関西国際大(関西5連盟)に5-1で快勝した。雨が降りしきる中、巨人原辰徳監督(52)のおいで最速157キロ右腕の菅野智之投手(3年=東海大相模)が2安打1失点完投。来秋ドラフトの目玉の投球に、メッツ、アストロズ、ジャイアンツ、インディアンスなどのメジャーを含む国内外のスカウトが熱視線を送った。

 冷たい雨とカクテル光線を背に、東海大・菅野がプロの注目を集めた。最速157キロを誇る来秋ドラフト目玉の初戦。第1球目の150キロの直球に、スタンドがどよめいた。5回まで1人も出塁させない完全投球。「完全試合?

 意識してなかったと言ったらウソになります」。6回に自らの捕球ミスで初めて走者を出したが、カットボール主体に14個の内野ゴロを量産。2安打5奪三振1失点の快投で、集まった国内外のスカウトをうならせた。

 グラウンドコンディションは最悪だった。雨天で、気温は10度を下回った。夕方4時53分の開始時刻には空も暗く、ナイター照明が点灯。ベンチでショウガ紅茶を飲み、ストーブで体を温めた。「先発したら完投しないと」と、最後までテンポよくリズムを刻んだ。

 球数はわずか98球。今秋のリーグ戦から、テーマは一貫して「省エネ」だ。日本一を目指して臨んだ今春の全日本大学選手権では、150キロ超えの直球を武器に決勝進出。だが最後でスタミナ不足がたたり、涙をのんだ。念願の頂点に立つため「連投に耐えられるよう、鍛え直してきました。球数も計算通り」。緩急をきかせ早めにバットを振らせた。

 伯父の原監督が率いる巨人は、すでに来年ドラフトの1位候補に挙げている。中日石井スカウトも「来年の超目玉。テンポが速くて昔の江川みたい。今年の4年生に交じっても競合していた」とべた褒めする。

 10月のドラフトでは、ロッテに1位指名された伊志嶺のそばで独特の緊張感を味わった。巨人1位の中大・沢村拓一投手(4年=佐野日大)からは「大学球界を引っ張れ」と後を任されている。菅野は「そういう自覚を持ってやっていきたい。(決勝で対戦する可能性のある早大)斎藤(佑樹)さんとも投げ合ってみたいし、勝ちたいです」と表情を引き締めた。優勝まであと2勝。今年のドラ1も押しのけ、大学NO・1に駆け上がってみせる。【鎌田良美】