日本は初参加した1964年東京大会以来初めて金メダルがゼロに終わった。最終日の車いすマラソン女子に出場した夏冬合わせてメダル7個の土田和歌子(41=八千代工業)に期待がかかったが、トップとわずか1秒差の4位でメダルを逃した。日本のメダルは銀10、銅14の計24個で前回ロンドン大会の16を上回ったものの、2020年東京大会へ課題が残った。

 「車いすの女王」も金メダルに届かなかった。41キロ付近まで先頭集団7人の大接戦。土田は残り1キロでスパートをかけたが、抜け出せなかった。車いすを懸命にこいで前傾姿勢でゴール。電光掲示板には「4」が表示された。1位の中国選手との差はわずか1秒。「メダルが取れず残念だったけど力は出し切った」と話したが、目は潤み、悔しさがにじみ出ていた。

 98年長野大会のアイススレッジスピードスケートで2つの金メダルを獲得。04年アテネ大会では、陸上の5000メートルでも頂点に立ち、日本人初のパラリンピック夏冬金メダリストとなった。だが、マラソンは4大会出場して銀と銅各1個。ロンドン大会後、「納得したレースができていない」と現役続行を決意。今大会は「マラソン1本」に絞って金メダルにかけていた。

 最終日の土田のレースを終えて、今大会の日本の金メダル0個が確定した。「私が取りたかったのに!!」と悔やんだが「競技レベルが上がっている。これから4年は相当レベルが高いものが求められる。金を取るために選手をどう強化するかが重要」と海外勢の成長も肌で感じていた。4年後は地元東京開催となるが「ゴールラインを踏んだ時の気持ちと合わせて、1度整理したい」と、進退については神妙な面持ちで言葉を濁した。【峯岸佑樹】