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日本代表候補選手インタビュー

 210センチを超える大男がゴール下で体をぶつけ合い激しく争う。それがセンターというポジションだ。「世界の中では僕は小さいです」と話す202センチの伊藤俊亮(27=東芝)が、世界選手権に向けての思いを語った。

大きな対戦相手に汚いプレーで対抗したい

笑顔でインタビューに答える伊藤
笑顔でインタビューに答える伊藤

── 代表入りして6年が経ちます。伊藤さんは02年世界選手権の予選と、アテネ五輪予選でそれぞれ敗戦を経験して今大会を迎えることになりますが、思いは格別ではないですか

 そうですね。世界選手権予選と五輪予選で負けて、世界の舞台に立つのは簡単なことではないと実感しました。それだけに今回、自国開催の世界選手権に出られるのは光栄なことだし楽しみです。テレビで見ていたNBAで活躍している選手が集まってくる大会に自分自身が出るんですからね。すごくワクワクています。

── 1次リーグで対戦する5カ国の印象を教えてください

 初戦で対戦するドイツはヨーロッパ流の組織的なバスケットが徹底されたチームですね。ノビツキーが絶対的なすごさをもっていて「すごいなー」という印象を持っています。自分がマッチアップするセンターも210センチを超える大きさがあります。そのセンターを苦しめるような試合をしたいですね。ニュージーランドはむちゃくちゃデカいということはないですが、センターの選手はパワーがありそうなので、押し合いへし合いの展開になりそうです。パナマは(パブリセビッチ)監督の話だと米国の大学に行っている選手が多いみたいで、個人技がすごい。アンゴラもアフリカの選手らしく能力が高い。アフリカ予選のビデオを見たのですが、個人技だけでなくディフェンスも組織的にやっていました。気が抜けないいいチームです。スペインはガソルのいない試合を見たが、NBAでPGをやっているホセ・カルデロン(トロント・ラプターズ)がいい動きをしていて、レベルの高さを感じました。いずれにせよ、簡単な試合はなさそうですね。

── 日本はディフェンス重視のバスケットをすることになりますが、センターの伊藤さんの役割や注意点は?

 僕は202センチありますが、海外のセンターに比べたら随分、小さいです。僕よりも大きい選手とゴール下でマッチアップすることになりますが、相手にボールを持たせないことを常に考えてディフェンスしようと思っています。

── 226センチの姚明(中国)は別格としても、世界の強豪国のセンターは210センチ以上の選手が大半ですからね。伊藤さんが身長差をカバーするために心がけていることは何ですか?

 簡単にポジションを取られないことです。そのためには、言い方は悪いですが「汚いプレー」をしなければいけないと思います。体で押したり、引いたりしてゴールから相手を遠ざけたり、あるいはリングの真下に押し込んだりするようにしています。汚いプレーは欧州の選手は特に多くやってきます。それに比べると日本人はクリーンなプレーをしすぎると思います。6月の欧州遠征の時のイタリア戦でも相手に手をつかまれたり、ヒジで体を押し上げたりということをやられました。そういうことを僕がやりたいと思っています。

高校入学時はハンドボールへの転向も考えた

ゴール下で競り合う伊藤(左)と古田
ゴール下で競り合う伊藤(左)と古田

── ところでバスケットを始めたのはいつですか?

 中学1年の時です。身長は中学入学時に169センチあって大きかったので、当時からポジションはセンターです。中学は座間西中でしたが、そんなに強くなくて、座間市でも一番下の方のレベルでした。

── 高校は大和高ですが、強豪校ではないですよね

 そうですね。背は191センチあったのですが、バスケットを強化している私立校からの誘いもありませんでした。大和はバスケットがあまり強くなかったので、入学時はハンドボール部から誘われて転向しようと思ったくらいです。高2の時に神奈川選抜に選ばれて国体に出場しました。そこで初めて全国レベルのバスケットを意識しましたね。その後、中大から声をかけてもらったので、「大学でもバスケットを続けられるなー」と思ったくらいです。

── 高校や大学の日本代表には入ったのですか?

 高校日本代表候補40人の合宿には行きましたが、最後までは残れなかったです。 大学3年の時に日本学生選抜に選ばれて日韓学生対抗などに出ました。その時が初めての日の丸です。大学4年でナショナルチーム入りしました。でもマイケル(高橋)が来られないので、代役での選出でしたね。

── 初代表の時の合宿はどうでしたか?

 テレビなどのJBLの試合で見たことがある人たちに交じって合宿に参加したのですが、バスケットのレベルがまったく違ったので、緊張とともに、戸惑いもありました。後藤正規さん(当時アイシン)がいらっしゃって、すごいストイックな方で、バスケットに対する姿勢を教えてもらいましたね。

── 伊藤さんは結婚して何年ですか?

 2年半ですね。大学4年から付き合い始めて、3~4年付き合って結婚しました。

── スーパーリーグのシーズンが終わると代表での活動が始まり、家を空けることが多いのでは

 留守がちなので嫁(綾子さん)にも大変な思いをさせてますね。でも「私のせいで頑張れないといわれるのはイヤなので、頑張ってね」と言って送り出してくれます。付き合って1年目は遠征時には公衆電話を使って話をしてましたが、2年目からは携帯を使うようになりました。以前に電話代が1カ月7~8万ぐらいかかったことがあって、焦った経験があります(笑い)。家庭ではリラックスできますね。趣味や食の好みが似ていて一緒にスポーツを観戦したり、焼肉を食べに行ったりしてます。兄弟みたいな夫婦ですね。嫁が一番の心の支えだし、広島での予選ラウンドも観戦に来るので頑張りたいですね。

対格差を補って子供たちに夢を与えたい

シュートを放つ伊藤
シュートを放つ伊藤

── 日本でのバスケットボール人気についてはどう思いますか?

 日本ではトップレベルの選手や試合を見る機会が少ないと思います。学校体育で子供たちはバスケットをやっているのに、なかなか観戦の機会がないみたいですからね。

── そういう意味では今回はとてもいいチャンスですね

 はい。自国開催の世界選手権は、これまでバスケットをあまり見ることのなかった人たちに見てもらえるチャンスだと思います。日本がいい試合を見せることで、バスケットを始めようという子や、すでにやっている子がもっと頑張ろうという気持ちになるかもしれませんからね。僕を含めて、日本は身長や体格で海外の選手とは絶対的な差がありますが、それを埋められるようなプレーができるように練習をしてきました。子供たちに夢を与えられるようなプレーをして勝ちたいですね。



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