【バンコク(タイ)14日=田口潤】石川遼(20=パナソニック)が横綱白鵬流「しこトレ」で、来年マスターズ出場を決める。アジアツアー最終戦のタイ選手権は今日15日、当地のアマタスプリングCCで開幕。14日のプロアマ戦前の練習場で、石川は親交のある白鵬(26)直伝のしこを踏んだ。1週間前から日課となった新たな下半身強化でスイングも安定。今年最後の実戦で、マスターズ出場圏内ギリギリの世界ランク50位以内を死守する。

 ゴルフ練習場では異例の光景だった。背筋をまっすぐ伸ばした石川が、左右の足を交互に上げ下ろした。6日に、テレビマッチで共演した横綱白鵬から教わったしこ。「毎日やってます。できるだけ腰を落として、ゆっくりやることを心掛けてます」と新たな下半身強化に手ごたえをつかんだ。

 父勝美氏(55)の勧めもあり、小学校時代にはしこを踏んでいた。今回、親交のある白鵬から直接指導を受けたことで、久しぶりにトレーニングの一環として導入を決めた。石川の仲田健トレーナー(42)は「股関節周辺、臀部(でんぶ)、太ももの強化になる」と説明した。

 毎日欠かさない「しこトレ」の効果は出ている。2週前の国内ツアー最終戦日本シリーズJT杯以降も、ほぼ休みなく、練習、イベントなどでクラブを握るが疲労はない。この日は名物の浮島グリーンのある17番パー3で、ピンそば1メートルに寄せるなど、好調を維持。「アプローチからドライバーまで一貫性のあるスイングができている」と自信を口にした。

 09、10年のアジア欧州対抗戦ロイヤル・トロフィーでプレーしたコースで、グリーン形状、球の落としどころなどは理解している。現在、マスターズ出場圏内ぎりぎりの世界ランク50位。「1次選考」締め切りになる年末まで順位を守るためにも大事な一戦。「今年最後の試合。来年の弾みになる大会にしたい」。今年も勝ち続けた横綱の教えを守って、今季の集大成をみせる。

 ◆タイ選手権

 アジアツアーの最終戦として今年新設。会場はタイ・バンコク郊外のアマタスプリングCC(7453ヤード、パー72)。今年のマスターズ覇者シュワーツェル(南アフリカ)全英覇者クラーク(英国)ら世界のトップが集結。日本からは石川、片山。昨年賞金王の金庚泰(韓国)ら外国勢を含めると日本ツアーメンバーは計23人出場。賞金総額100万ドル(約7500万円)優勝賞金は15万8500ドル(約1188万円)。