駒野5人抜き早大往路V/箱根駅伝
- 早大5区駒野は胸のWのマークをたたきながら1位で往路ゴールする
<第84回箱根駅伝>◇2日◇往路◇東京-箱根(5区間108キロ)
早大が復活した。山登り5区の駒野亮太(4年)が駒大の安西秀幸(4年)を主将対決で振り切り、5時間33分8秒で12年ぶり13度目の往路優勝を果たした。5人抜きの逆転劇を演じた駒野、エース竹沢健介(3年)が故障に耐えて3区の区間賞を獲得。創立125周年の節目に、渡辺康幸監督(34)の現役当時以来となる王座を勝ち取った。今日3日の復路は、総合V本命の2位駒大と1分14秒差でスタートする。
芦ノ湖のゴール直前、駒野が右こぶしで胸のWマークを2度たたいた。アンカーの主将が、力強く早大復活をVパフォーマンスでアピール。「シード落ちしたころも支えてくれた人たちへの恩返し」。大歓声の選手、OB、ファンの中へ、笑顔で飛び込んだ。
箱根の山に「Wの神様」が舞い降りた。1、3年に続く5区起用の駒野が、昨年まで3年連続区間新記録を樹立した「山の神」今井正人(23=トヨタ九州、順大卒)に迫る激走で劇的な逆転Vを達成した。4区の中島(1年)が健闘の6位(区間8位)でたすきをつないでくれた。主将のW魂が燃え立つ。序盤の平地で一気に4位へ浮上した。
箱根湯本からの本格的な山登りに入ると、さらに力強さを増す。8・4キロに駒大の安西に追いついて並走。トップの高瀬(山梨学院大1年)を10・6キロで抜き去ると、12・8キロすぎには口が開いた安西を振り切り、きつい上りで「主将対決」に決着をつけた。最後は独走態勢を築いてゴール。昨年の今井の記録に、あと7秒差の快走で区間賞を獲得した。
早大は渡辺監督が現役だった96年以来、往路、復路、そして総合優勝も途絶えていた。03年からは4年連続シード権を逃した。予選会も経験した駒野はこの1年、チーム改革を続けてきた。「強さを取り戻すため、きついことを言ってきた。嫌われ者の主将です」。大みそかの10キロ走練習でも、登録メンバーの16人から外れた選手が腹痛を理由に遅れると、怒鳴りつけたという。
主将の名門復活への執念は3年生エースにも通じた。座骨神経痛の悪化で右太ももなどを痛めた竹沢が、痛み止めの注射を打って強行出場。7人抜きで3区の区間賞を獲得した。昨年制したエース区間の2区を回避して、カーブなどが少ない3区に回った。レース途中、痛みが出た太ももをたたいてしのぎ、大阪世界選手権1万メートル代表のスピードを見せつけた。故障で自己管理の甘さを反省しながら「何とか我慢できる範囲で走れた」と笑い、駒野に感謝した。
チームの目標だった往路Vを達成して、渡辺監督は「僕らの時(96年)は往路しか勝てる見込みがなかったが、今回は明日も面白いですよ」と言った。山下りの6区、加藤(2年)には駒野以上に自信を持っている。復路の総合力では、V本命の駒大にはかなわないが「何が起きるか分かりませんから」。93年大会以来となる総合Vは、チーム強化が進む来年ともくろんでいたが、駒大に真っ向勝負を挑む。【佐藤智徳】
[2008年1月3日9時18分 紙面から]
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