東海大棄権10区荒川じん帯損傷/箱根駅伝
<第84回箱根駅伝>◇3日◇復路◇箱根-東京(5区間109・9キロ)
史上初めて、悲劇は3度起こった。東海大の最終10区の走者、荒川(4年)の右足首は限界だった。必死の形相で前に進もうとしたが、無残にも転倒。そのまま大崎コーチが止めに入った。「すいません…」。激痛に、荒川はひと言発するのが精いっぱいだった。
6キロ付近の蒲田の踏切で、線路の溝に右足を取られた。前けいひ靱帯(じんたい)損傷。右にカーブを切るたびに、激痛が荒川を襲った。体を支えきれず2度も転倒した。「ペースを落としていいから」。大崎コーチから声が飛ぶ。しかし、21キロ手前の3度目の転倒が限界だった。
往路の順大に続く強豪校の棄権に、沿道の観客がどよめいた。伊達、佐藤と2枚看板をそろえた優勝候補の東海大でさえ、最後までたすきをつなげることさえできなかった。9区では大東文化大の住田(3年)が脱水症状とけいれんで棄権していた。往路での順大の棄権があったため、復路は給水規制(通常は15キロで1回)を緩和して、1回分、多くしていた。
しかし、それでも悲劇は止まらなかった。94年までわずか3件だった棄権が、95年以降では8件目。大会の青葉昌幸会長は「これだけ注目されると、体調が悪くても走ってしまう選手もいる」と指摘。日本陸連の沢木啓祐専務理事は「異常事態。医療スタッフを交えて原因究明したい」と話した。駒大が歓喜の渦に囲まれている時、東海大の荒川は救急車で運ばれた。あまりにも大きな明暗を残し、今年の箱根が幕を閉じた。
[2008年1月4日9時13分 紙面から]
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