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佐藤久佳3種目で日本新/競泳
- 男子100メートル自由形決勝 短水路日本新をマークし優勝した佐藤久佳
<競泳:日本短水路選手権>◇最終日◇24日◇東京辰巳国際水泳場
男子100メートル自由形で日本人五輪メダリストの夢が広がった。21歳の佐藤久佳(日大)が48秒19の日本新記録で優勝した。前日23日の50メートル自由形と100メートル個人メドレーを含め、今大会出場全3種目で日本記録を更新して圧勝。通称「ストレートアーム」と呼ばれる独特の泳法で、日本人の限界と言われた記録を次々と破ってきた男が、五輪イヤーにさらに進化。60年ローマ五輪400メートル銀メダルの山中毅以来48年ぶり、男子自由形待望の表彰台へ期待が膨らんだ。
会場の視線は佐藤の両手にくぎ付けだった。ひじを曲げない「ストレートアーム」がひときわ大きな水しぶきを挙げた。アテネ五輪400メートル8位の細川らを抑えてゴール。自身が持つ日本記録を0秒32も更新した。それでも笑顔はない。「目標の47秒台が出なかったので満足はしていない」と淡々と話した。
100メートル自由形のスペシャリスト。05年7月に18歳で世界選手権初出場(予選26位)。同9月に長水路で日本初の50秒のカベを突破した。そこから伸び悩んだが、世界で戦うために、昨年7月に思い切ったフォーム改造に着手した。47秒台の記録を持つニストランドが取り入れたストレートアーム泳法に取り組んだ。
大きくて速いストロークで、再び記録が伸び始めた。長水路で昨年8月に49秒22、同9月には現在の48秒91まで日本記録を縮めた。昨年の世界選手権の優勝タイムは48秒43。佐藤にも世界が見えてきた。日本水連も本格的な強化に乗り出した。昨年12月には初めて自由形の日本代表だけ集めた合宿を実施した。
かつて自由形は日本の得意種目だった。32年ロサンゼルス、36年ベルリン五輪で、自由形だけで各6個のメダルを奪った。しかし、その後はパワーに勝る欧米勢に押され続けた。64年東京大会後、04年アテネ大会で松田が8位入賞するまで、五輪で男子自由形は40年間も決勝進出がなかった。特に100メートルは勝負にならなかった。
今大会は決して調子は良くなかった。それでも個人メドレーでは北島の日本記録を4年ぶりに更新し、苦手な50メートルでも日本新を出した。「100メートルは4月に日本新を出す。期待に応えたい」。五輪選考会となる日本選手権で、世界と互角に戦える姿を見せつけるつもりだ。【高田文太】
[2008年2月25日9時45分 紙面から]
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