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稀勢の里にらみ返して初金星/初場所

- 取り組み前に朝青龍(右)をにらみつける稀勢の里(撮影・水谷安孝)
<大相撲初場所>◇2日目◇14日◇東京・両国国技館
座布団が舞い飛ぶ中、稀勢の里は小さく拳を握った。横綱に何もさせない完ぺきな相撲。06年秋場所でも朝青龍に勝っているが当時は小結だった。前頭筆頭の今回は2勝目で初の「金星」になる。将来の和製横綱候補の面目躍如だ。
気が強く、朝青龍をにらみ返せるただ1人の力士といわれる。この日も土俵下で朝青龍の視線を感じ、「威圧感が違う。のまれそうになった」が、ひるまずににらみ返した。土俵に上がると「考えてもしょうがない。スピードに乗って一気に出る。それしかない」と覚悟を決めた。頭で考えず、続けてきたけいこを信じ、思い切りぶつかった。支度部屋に戻って、手さばきを聞かれると「よく分からない。余裕がなかった」と首を振ったほどだ。
師匠の鳴戸親方(元横綱隆の里)は、弟子の勝機を感じ取っていた。この日の朝げいこ後、5分近く助言を与えた。「突き押しで思い切ってやればいい。力を試すいい機会」と迷わずぶつかることを伝えた。稀勢の里の力が、朝青龍に対抗できると信じていた。取組前から「体調はいいし、いいところまで行けると思う。(朝青龍は)左脇が甘いしチャンスはある」と自信ありげだった。
これまでも注目の一番には強かった。昨年名古屋場所千秋楽では、優勝決定戦進出がかかっていたご当地力士の琴光喜を下した。アウエームードの中、主役を引きずり下ろし「ああいう雰囲気は嫌いじゃない」と言い放った。九州場所初日も地元福岡出身の魁皇への大声援をはね返して勝った。この日は、自分に期待がかかる場面を、重圧と感じるどころか「あの場所に立てて幸せでした」と話した。どんな場面でも揺らがない気持ちの強さをまた証明した。昨年、成人式を迎えたホープが、1年で大きく成長し、主役の座へ前進した。【来田岳彦】
[2008年1月15日9時7分 紙面から]
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