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土佐豊30連勝で十両に前進/初場所
- 土佐豊(右)は寄り切りで北勝国を破る
<大相撲初場所>◇9日目◇21日◇東京・両国国技館
東幕下4枚目の土佐豊(22=時津風)が、北勝国(22)との全勝対決を寄り切りで制し、幕下以下の連勝記録を30に伸ばした。これで今場所5連勝。史上最速に並ぶ、前相撲から所要6場所での新十両昇進へ大きく前進。序二段からの4連場所連続全勝優勝へ、残り2番も勝ちに行く。横綱白鵬(22)は若の里を破り9戦全勝。横綱朝青龍は安馬を退けて1敗を守り、勝ち越しを決めた。
神懸かり的な強さだった。北勝国の突っ張りに足が俵にかかった。土佐豊はそこから押し返した。突っ張り、逆転の寄り切り。師匠の時津風親方(元平幕・時津海)が「負けたと思った」と言うほどの大ピンチからの白星。もっとも本人は「まだひざが曲がっていなかったし、左上手も取れていたから」と、負けん気の強さを見せた。
実は北勝国には場所前の出げいこで1勝もできなかった。親方も「いいイメージが全くわかなかった」。それが「どうせ勝てないんだからと気楽な気持ちだったけど、負けたくないとも思った」と土佐豊。まさに気持ちの勝利だった。これで昨年夏場所からの連勝記録が30に伸びた。報道陣の数も日増しに増えた。「自分じゃないみたい」とまるで人ごとのように言った。
持ち味は強い当たりと精神力。東農大の先輩で、昨年、親方をついだ34歳の時津風親方は、今もけいこで胸をかしている。「あばらが折れそうなほどあたりが重くなった。立ち合いの迷いのない踏み込みが好成績につながってる」と証言する。今場所前の横審総見では右胸肉離れを起こしながらけいこを続け「あれだけ内出血しているのに痛いとは言わない。すごいよ」と親方をうならせた。
時津風部屋は昨年7月の名古屋場所以来、新弟子死亡問題に揺れた。部屋の雰囲気も沈みがちだったが、土佐豊の快進撃で士気も上がってきた。「みんな森下(土佐豊の本名)に刺激されて頑張っている。部屋が明るくなるのがうれしい」と親方は話した。
しこ名の「土佐豊」には出身地・高知と、戒名から「豊」の字をもらった祖父・隆治さん(享年84)への思いが込められている。初土俵を踏んだ昨年春場所直前の2月に亡くなった祖父に「早く出世する」と誓った。その目標が現実になる日が秒読み段階に入った。【来田岳彦】
[2008年1月22日9時40分 紙面から]
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