<全国高校野球選手権:花巻東8-5長崎日大>◇12日◇1回戦
これぞ「逆転のハナマキ」の真骨頂だ!
センバツ準Vの花巻東(岩手)が長崎日大(長崎)を8-5で下し、みちのく勢悲願の初優勝に向け1歩を踏んだ。エース菊池雄星(3年)が3被弾の苦しい展開も、8回無死満塁から佐々木大樹左翼手(2年)が逆転の3点二塁打。センバツ優勝の清峰に県大会で勝った長崎日大を、力でねじ伏せた。花巻商時代の64年夏以来となる、同校45年ぶりの夏1勝。岩手県勢としては7年ぶりの夏白星となった。
「抜けろ~!」。佐々木大は思わず叫んだ。一塁を回った瞬間、自然とガッツポーズが出た。4-5で迎えた8回無死満塁。相手エース大瀬良大地(3年)に対し、それまで2安打とタイミングが合っていた佐々木が打席に立った。「甘い球が来たらフルスイングしてやる、と思ってた」。高めの初球を振り抜き、中越えに走者一掃の逆転二塁打。「雄星さんが頑張ってたんで」と、エース菊池雄星(3年)を救った。
「逆転の花巻東」は健在だった。センバツでは2試合、夏の県大会では3試合が逆転勝利だった。「普段から逆転をイメージした練習をしている」と佐々木洋監督(34)。5回で5点ビハインドの場面から紅白戦を行う。「5点を追いかける場面では、走塁の仕方も違ってくる」と同監督。その言葉通り、7回には積極的な走塁(菊池と柏葉の重盗)で同点に追いついた。
殊勲の佐々木もその教えを守った。「7、8、9回で絶対に逆転できると、ベンチでみんな言っていた」と振り返る。センバツ決勝では、0-1の9回裏2死一、二塁の場面で代打で登場し左飛。最後の打者となった。「自分のせいで日本一を逃した。それからは1球も無駄にせずバッティング練習を行ってきた」と佐々木。その努力が実った。
大会NO・1投手の菊池が、まさかの3被弾。だがベンチは、逆転勝利を信じ切っていた。佐々木監督は「雄星がノーヒットノーランするより、うれしい」とこの日の勝利を大絶賛。菊池の5失点に佐々木は「雄星さんも人間なんだな、と思った」と笑った。
アルプススタンドは花巻商時代のOBや父母会、生徒らで満員。佐々木監督は「岩手の人たちの歓声がうれしかった」と感謝した。雄星のために、でも雄星だけじゃない-。花巻東の粘り強さを、再び全国に知らしめ、日本一への確かな1歩を踏んだ。【三須一紀】

