“ショータイム”への関心はスポーツの垣根を越えた。米国最高の人気スポーツNFL(プロフットボール)の現役選手もエンゼルス大谷翔平投手(26)に注目を寄せている。11年にサンディエゴ・チャージャーズからドラフト1巡目指名を受け、昨季はテキサンズに所属していたコーリー・リュジェ(31)は4月下旬、知人から送られた大谷のプレー映像に見とれた。

「非常に運動能力が高い。体が絞られていて強い。クォーター・バック(QB)が向いていると思う」

QBはフットボールの花形ポジション。193センチ、102キロの大谷の体格を伝え聞き、「身長が高い。それに、腕の力もある」と、12年にDT(ディフェンシブ・タックル)としてチームの最優秀守備選手に輝き、通算124試合の出場経験があるベテラン選手からお墨付きをもらった。

試合の行方を左右するゲーム・チェンジャーでもあるQBのように、野球の試合でも投打でチームの流れを変える大谷。同選手は「ボールを粉砕して、100マイルを投げることもできる。それはものすごく難しい」と目を丸くする。「間違いなくスターで、ゲームで最高の二刀流選手だ。マーリンズを応援していたけど、映像を見て、もっとエンゼルスを見たいと思った」。メジャーリーグの選手やファンだけに限らない。投打の驚異的な活躍が、NFL選手の心を動かした。

可能性を広げること-。リュジェと大谷には類似点がある。5月上旬、スポーツ選手の社会貢献活動を支援するPODコーポレーションと日本のXリーグに所属するノジマ相模原ライズによる「オンライン・フットボールクリニック」(協賛:株式会社Cleair)に参加。家族の事情でエチオピアに滞在中だったが、現地の朝4時からNFL選手としての経験や技術を日本の社会人選手や学生たちに伝えた。

「今、世界でコロナウイルスのことが絶えないけど、こうやってつながって、子供たちにも教えることができる。どういう状況にいようと、目標に向かって進んでいく。最終的に成功したいと思えば成功できる」

日本のコミュニティーと初めての交流は、国際貢献へ可能性を広げる1歩だった。大谷も世界一の選手へ、二刀流の可能性を広げている。「素晴らしいことだね。僕も一部を担えるかな」とリュジェ。コロナ禍であっても、夢に限りはない。むしろ、自らの意志でチャンスは広がる。【MLB担当=斎藤庸裕】

◆コーリー・リュジェ◆ 1990年3月18日、米フロリダ州生まれ。ポジションはディフェンスタックル(DT)。イリノイ大から11年ドラフト1巡目(全体18位)でチャージャーズ入り。19年はビルズとレイダース、昨季はテキサンズでプレー。NFL10シーズンで124試合出場。主な成績は26サック、291(単独は219)タックル。188センチ、136キロ