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黒田心意気の出来高払いなし
【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)16日(日本時間17日)=四竈衛】黒田は年俸1本勝負-。広島からFAとなっていた黒田博樹投手(32)が本拠地ドジャースタジアム内で入団会見を行った。3年契約で総額3530万ドル(約39億円)の大型契約を結んだ一方で、オプション+出来高払い契約はなし。メジャーの複数年契約では異例の内容で、逃げ道をつくらない心意気を示した。また背番号は「18」に内定した。
緊張感以上に決意がみなぎった。テレビカメラ13台が並んだ会見場に、黒田は紺のスーツ、ブルーのネクタイ姿で登場した。壇上でコレッティGMにユニホームを着せてもらうと、自ら壇上に立ち、明確な口調で抱負を語った。「ロサンゼルスに来て胸が熱くなっています。1日も早くドジャーブルーに染まるように努力したい」。慣れない英語を無理に使うこともしなかった。
ただ率直な心境を伝えたかった。最終合意まで時間を要したものの、契約内容はシンプルだった。AP通信によると、契約金730万ドルのほか、年俸は08年が500万ドル、09年が1000万ドル、10年が1300万ドル。だが4年目のオプションや出来高払い契約を含まず、基本的に年俸1本の形を選択した。一般的に、メジャーでは契約最終年の成績に準じて、球団または選手側が残留選択権を持つ場合がほとんど。年俸面以外でも、先発投手なら登板数や投球回数などを細かく分けて、出来高払いにするのが通例だった。
それでも、黒田は自らの意向で金銭面の詳細事項を度外視した。交渉した代理人側が驚いたほどで、出来高払いがなければ、首脳陣も契約を考慮することなくフル回転で起用できるメリットがある。高騰するマネーゲームを黒田は望んでいなかった。「(メジャーで)1球も投げたことがないのに、戸惑う部分はありました。今まで日本人投手の方が、成績を残してきてくれたからだと思います」。高評価に伴う重圧も確かに感じた。だが、現実のマウンドで年俸の高低など関係ない様子。「簡単に結果が出るほど甘い世界じゃない。覚悟はしています」。広島での背番号「15」は正遊撃手ファーカルが付けており、新天地ド軍では「18」を選んだ。「日本ではエースナンバーですから」。引き締めた口元は最後までゆるまなかった。
条件面では上回っていたマリナーズなど他球団の誘いを断った。最終的にド軍を選んだのも家族の環境、温暖な気候を優先したからだ。米国挑戦を決意して以降、すでに滑りやすいメジャーの使用球でキャッチボールを開始。自宅でも常に手の届く場所にボールを置くなど、準備にぬかりはない。
成績次第で変動するボーナスを気にしながら投げるのは本意ではなく、「カープとカープファンには感謝しています。今ここにいられるのもカープのおかげだと思っています」。フラッシュが舞う華やかな入団会見の中で、感謝の言葉を残すのが、いかにも、男くさい黒田らしかった。
[2007年12月18日9時11分 紙面から]
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