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和田FA交渉最速20分で中日と合意
- 初交渉で入団が決定し、笑顔で握手する和田(左)と中日西川球団社長(撮影・浅見桂子)
西武からFA宣言した和田一浩外野手(35)が9日、中日への移籍を決断した。都内のホテルで中日と入団交渉を行い、西川順之助球団社長(75)に入団の意思を伝えた。交渉に要した時間はわずか20分。下交渉で条件を詰めていたこともあり、推定年俸2億8000万円プラス出来高の3年契約ですんなり合意。西川社長は西武時代と同じ背番号「5」を予定していることも明かすなど、初交渉とは思えない異例の進展でスピード決着した。
相思相愛だった和田と中日が電撃的に結ばれた。交渉開始が午後2時。そのわずか20分後、報道陣が待つ会見場に「もう終わるから」という中日側からの連絡が入った。さらに5分後、西川球団社長と和田が会見場の壇上に並んで着席。「まるで結婚会見やな」という声も上がる中、西川社長が「今、和田君に了承を得ました。正式な入団発表はあらためて名古屋で行いますが、新しい戦力として加わっていただくことが決まりました」と発表した。FAの歴史上、最速のスピード決着だった。
岐阜出身で、なじみの深い中日からオファーを受けた段階で和田の心は決まっていた。「環境を変えて、もう1度ゼロからスタートしたいという気持ちがFA宣言をした時からあった。僕自身も中日ファンだったし、声を掛けてもらえて今しかないなと思った。野球を初めて見に行ったのも中日だったし、中日で野球をやりたいなというのは、小さいころからの気持ちだった」。すでに下交渉を重ねて、年俸などの条件面は交渉前に合意していた。あとは「顔合わせ」で十分だった。
落合監督からの熱心な誘いも決断を早めた。同監督は「中軸を打てる日本人の右打者が欲しい」と和田の獲得を早くから球団に要望。球団が正式オファーを出した7日には電話で「ぜひ来てくれ」という直接のラブコールも送っていた。和田は「小さいころ一番見ていた大打者。打ち方をまねしたりもした」と、打者としての尊敬を口にした。「これまで話を聞きたいと思いながら踏み込めなかったので、打撃理論などの話を聞いてみたい」と早速「弟子入り」も表明した。
西武に残れば将来は保障され、引退後も指導者のポストが約束されたはずだった。西武が残留交渉で提示した2年総額6億円(推定)は、中日の2億8000万円プラス出来高の3年契約という内容とそれほど変わらない。それでも「3年間という長期的な契約をしてもらえたのは、ありがたい。文句のつけようがない」と中日の提示を二つ返事で受け入れた。違う環境に飛び込んで勝負をかけ、選手としてもう一段レベルアップすることの方が大事だった。
FA宣言をするかどうかの段階から「思うように動いてください」と一貫して背中を押してくれた家族とともに、名古屋へ移り住む予定だ。初のセ・リーグにも「不安がまったくないわけじゃないけど、交流戦で少しの知識もあるし、やってやるという気持ちの方が強い」と言い切った。西武11年のキャリアを捨て、35歳からの挑戦をスタートさせた和田の言葉は力強かった。【大塚仁】
[2007年12月10日10時1分 紙面から]
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