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第9回メキシコ大会

開催国を敵に回したイングランド


 前回優勝国のイングランドには、試練が待ち受けていた。大会の開催地としてメキシコとアルゼンチンが立候補したが、FIFA総会でメキシコ開催に強硬に反対したのがイングランドだった。

 気温が低い欧州勢にとって、朝晩でも30度を超える暑さは大問題。しかも海抜2300メートル以上で、空気が薄いことにも難色を示した。

 結局、メキシコ開催に落ち着いたが、同国民の中にはイングランドへの敵対心が残った。もともとイングランドはサッカーの母国というプライドが高く、W杯創設当初は「栄光ある孤立」として参加すらしなかった。それ以外にも事あるごとに他国を見下す発言があった。前回の優勝でさらに態度が尊大になっていたことも確か。大会直前には親善試合を行ったコロンビアで、ボビー・ムーア主将が宝石を盗んだとして逮捕された。真偽は不明だが、イングランドに対する中南米諸国の感情が色濃く反映した事件だった。

 それでもイングランドは大会NO・1GKのゴードン・バンクスを中心に、堅い守りで1次リーグを突破した。ブラジルには0-1で敗れたが、ルーマニア、チェコスロバキアにはともに1-0で勝って8強進出。しかもブラジル戦前夜には宿泊ホテル周辺でメキシコの群衆が騒ぎ、イレブンは寝不足状態だった。

 結局、イングランドは準々決勝で延長の末に2-3で西ドイツに敗れた。実は、この時も守護神バンクスが腹痛で欠場するというアクシデントに見舞われていた。これだけマイナスの要素が重なれば、連覇できなかったのも無理はなかった。

















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