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優作さん、遺作のシナリオ集を出版へ/1995年10月23日付

 11月6日に七回忌を迎える俳優の松田優作さん(享年39)の「遺作」が公表される。優作さんのアイデアで製作した脚本をまとめたシナリオ集が出版されるもので、映画化寸前まで企画が進んだ幻の作品も含まれている。遺作公表について未亡人の美由紀さん(34)は「ひとつひとつの脚本が人の心の中で生きれば、優作の魂も生き続ける」と全面協力している。

 ぼうこうがんのため39歳の若さで亡くなった優作さんのアイデアが納められたのは、25日に発売される「松田優作+丸山昇一・未発表シナリオ集」(幻冬舎)。映画、テレビ化のために企画した6本のシナリオで構成されている。生前、優作さんが自分のアイデアを語り、脚本家の丸山昇一氏(47)が執筆した。

 書斎の本棚で眠っていた脚本を2年前、美由紀夫人が見つけた。丸山氏の申し出もあり、出版というかたちで公表することになった。美由紀夫人は「ひとつひとつの脚本がこうやってつくられたことを知ってほしい。それが、少しでも人の心の中で生きてゆくことができれば優作の魂も生き続けるのだから」と喜んでいる。

 「野獣死すべし」「家族ゲーム」「ブラック・レイン」など多くのヒット作に出演した優作さんは、自身が創造した作品の製作にも意欲的だった。「ありきたりをフィルムにしてちゃダメだ。飛ばなきゃな。だけど、ごく普通の生活をとらえておかなきゃ。非現実的な世界に飛んだってアホみたいなもんだぜ」。熱っぽく語る優作さんは、アイデアが浮かぶと、信頼を寄せる丸山氏を自宅に招いた。丸山氏が力を込めて脚本を仕上げるが、読んだ時の優作さんの判断は「最高だ」「ダメだな」のどちらかだった。

 優作さんが「最高だ」と映像化に乗り出した脚本は、今年6月に亡くなった山際淳司氏の「たった一人のオリンピック」など10年間で10本。そのうち、映画化されたのは1986年(昭61)の「ア・ホーマンス」1本だけだった。中上健次氏原作の「荒神」など、映画化寸前の作品もあったが、個性が強すぎるため、製作会社サイドが難色を示し、お蔵入りした。

 丸山氏は「優作さんは、やりたいものをぶつけるわけですが、それが大衆には受けないと判断された時は、潔く引いた。常にやりたいことと大衆の接点を求めて前向きでした」という。

 死後、あらためて映画化が持ち上がり企画進行中の話もある。が、丸山氏は「主役が優作さんじゃないとはまらない気がするんです。ひきずっている重さをどこか、ふわっと軽く演じる何とも言えない“実存感”がある人。今のところ思い当たるのは優作さんしかいない」と話している。

[1995年10月23日付]



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