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優作さん置いて行かないで美由紀さん号泣/1989年11月9日付

 ぼうこうガンで急死した松田優作さん(享年39)の告別式が8日、東京・三鷹市の霊泉斎場で行われた。夫の闘病を笑顔で励まし、死後2日間、気丈に参列者に応対してきた美由紀夫人(28)も出棺の際には号泣。2000人に及ぶ参列者の涙を誘った。

 葬儀社のスタッフもハンカチを目に当て、取材陣の多くが思わず涙した。出棺直前の“お別れ”の時、「私を置いて行かないで」と夫人は遺体にすがりついた。それまで父親の死を理解できなかった長男の龍平くん(6)と次男の翔太くん(4)も母親の涙に誘われるように「置いて行かないで」とつぶやきながら大粒の涙をこぼした。長女・夕姫(ゆうき)ちゃん(1)も笑顔を消し、ぼんやりとした顔になった。

 がんと闘う夫を笑顔で支え、その“演技”の延長のように7日の通夜の席では涙を見せなかった夫人が、こらえ切れなくなって初めて見せた心のうちだった。続く遺族代表のあいさつで、夫人は「みなさん、いつまでも心の中で優作のことを忘れないでください」と絞り出すような声で訴えかけた。葬儀後、取材に応じた夫人は「夫は私に3人の子どもという最大の宝を残してくれました。本当に素晴らしい人でした」と、淡々と語った。

 棺の中には、「遊戯シリーズ」「家族ゲーム」など出演作の中で本人が気に入っていた10本のビデオ、愛用のサングラスに、作ったばかりのオフホワイトのスーツが入れられた。身長185センチの松田さんの遺体は近くの多摩葬祭場で、通常よりも35分長い1時間15分で骨になった。アクション作品の多かった松田さんが多額の生命保険に入ったことは間違いないが、3人の子どもを抱えた夫人の女優復帰も関係者の間で取りざたされている。

 前妻の美智子さんとその娘(10)の姿はこの日も見掛けられなかったが、未明に取材陣を避けるように遺体と対面した高倉健をはじめ、桃井かおり、原田芳雄、水谷豊・伊藤蘭夫妻ら関係者700人を含む2000人が葬儀に参列した。友人代表としてあいさつに立った原田は「“なんだ、これは”(「太陽にほえろ!」で松田さんが死ぬときのセリフ)とか、何度も死ぬ役やっているじゃないか。生き返ってみろ。オレは壮絶な死なんか納得しない。すべてし終わって安らかに死ぬのが当たり前じゃないか…」。最後は言葉にならなかった。

 実は、松田さんの代表作である「遊戯シリーズ」の10周年を記念して来年、仲間が集まって彼の主演映画を製作する話が進行していたほどで、「突然の早世」のやりきれなさは、死後2日を経てももちろんぬぐえるものではなかった。墓地も未定だが、関係者の話によれば、高校を中退して飛び出した故郷・山口県下関市に二十数年ぶりに戻ることになりそうだ。

ブラック・レイン 米で絶賛

 松田さんの告別式には、ハリウッドのオスカー俳優、マイケルダグラスから弔辞が寄せられた。彼の遺作となった米パラマウント映画「ブラック・レイン」の共演者である。「優作氏との共演は、私の最も思い出深い出来事の一つでした。並外れた才能、常に私にインスピレーションを感じさせてくれる人でした。ご家族の方に哀悼の意を表します」。自筆でサインされたこの文面は、「ウォール街」で知られるこのトップ俳優の“社交辞令”ではない。

 この映画が、現在でも「バットマン」よりも3ランク上の興行成績11位に位置(米バラエティー誌)する大ヒットをしたからばかりではない。多くの米マスコミが、冷酷な殺人者にふんした松田さんの演技を「文楽の人形を思わせるさめた素晴らしさ」と絶賛している。

 来年2月に行われるアカデミー賞のノミネートでは間違いなく助演男優賞に名前が挙がると見られている。日本でも12月まで公開予定のこの映画の公開延長が検討されている。

ワイドショーは2~3%増

 松田優作さんの急逝のニュースと、6日深夜自宅を訪れた弔問客の様子などを報じた7日の民放局ワイドショーの視聴率は、通常よりも2~3%高かった。

 8日、ビデオ・リサーチ社が発表した数字によると、フジテレビ「おはよう!ナイスデイ」(朝8時半)が10・0%以上と2ケタを記録したほか、午後2時、3時のワイドショーも軒並み8%以上という高視聴率だった。

 人気個性派俳優の衝撃的な急死であったことや、壮絶ながんとの闘病ぶりがお茶の間の悲しみを誘ったようだ。各局とも追悼番組を用意したが、テレビ朝日は昭和55年4月19日に、松田さんが出演した際の「徹子の部屋」を27日、再放送することを決めた。

[1989年11月9日付]



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