新元号が「令和」に決まる前、政府が有識者や閣僚に示した6つの原案の全体像が2日、明らかになった。「令和」のほかに、「英弘(えいこう)」「久化(きゅうか)」「広至(こうし)」「万和(ばんな)」「万保(ばんぽう)」だった。政府は原案に関し、考案者も含めて公表しない立場だが、「令和」への国民の受け止めが好意的なこともあってか、口もゆるみ? 情報は次々に“解禁”。厳しさを極めた発表前の情報管理とは、対照的だ。

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新元号に関する情報漏れ阻止に、厳戒態勢で臨んだ政府。発表後、その周辺から、「門外不出」の元号案の全体像が、だんだんと明らかになってきている。

1日の発表前、有識者らに6の原案が示され、日本古典、中国古典を出典とするものが3つずつだと分かっていたが、具体的には「令和」「英弘」「広至」「久化」「万和」「万保」の6つだった。

1日の有識者懇談会で配られた紙には、「英弘」から始まり、「令和」は最後に記載。「令和」は万葉集だったが、関係者によると、英弘は「日本書紀」、広至は国書(日本古典)に加え、中国古典の「詩経」にも由来。万和は中国古典の「文選(もんぜん)」で、万保、久化も中国古典に由来する。過去の改元時に候補となったものも複数、含まれていたという。

政府は原案に関し、考案者も含めて明かしておらず、決定過程の公文書も30年は非公開とする方針だ。選考作業に携わった有識者9人も1日、「申し上げられない」と口をそろえた。政府は、天皇陛下や皇太子さまへの報告前に情報が漏れることを恐れ、関係者の携帯電話を預けさせるなど情報管理を徹底。しかし情報漏れを阻止した後は徐々に、「舞台裏」の実態が漏れ伝わってきている。

「平成」が選ばれた際も、発表後ほどなく、他に「修文」「正化」の2案があったことが分かっている。国会関係者は今回、他の原案が明るみに出ることで「令和」の評価が変わることを、政府はかなり警戒しているとみる。ただ、「令和」への国民の受け止めは好意的で、「(関係者の)緊張感もゆるんでいる面があるのでは」と、推測した。

原案の絞り込み過程の実態も、分かってきた。専門家に依頼した候補案は、担当者が20~30に絞り、約2カ月前に菅義偉官房長官に提出。菅氏は3月に首相に検討状況を報告。約1週間前には、6つの原案が固まっていたという。