囲碁の芝野虎丸名人・王座(20)が26日、史上最速で3冠を獲得した。26日、東京・市ケ谷「日本棋院」で行われた第58期十段戦5番勝負第4局で、午後4時57分、141手で村川大介十段(29)に黒番中押し勝ち。これで対戦成績を3勝1敗として、十段を奪取した。序盤、自らのミスでピンチに立たされたが、徐々に盛り返してひっくり返した。「3冠はまったく考えていなかった。自分なりに頑張って打てた」と振り返った。

昨年10月に初タイトルとなる名人、同11月の王座に続き、たった8カ月と囲碁界史上最速での3冠獲得となった。1976年(昭51)5月の碁聖獲得後、十段、本因坊と奪取した故加藤正夫名誉王座の1年1カ月を上回る。また、20歳7カ月、プロ入りから5年9カ月での3冠は、「史上最年少」「史上最速」。井山裕太棋聖(本因坊、天元=31)の23歳1カ月、プロ入りから10年3カ月の記録を更新した。この結果には「出来過ぎです」と照れた。

7月からは世界最高峰の団体戦「中国甲級リーグ」(16チーム総当たり)に参戦する。野球のMLB、サッカーのセリエAのようなものだ。中国、韓国のトップ棋士が主力になる。日本の棋士の参戦は17年の一力遼八段以来。所属する「山東日照大象房屋チーム」には、3人の世界王者が在籍している。1チーム6人で構成され、4人が出場する。

井山に挑戦中の本因坊戦は3連敗と、あとがない。「足りない部分がたくさんある。頑張らないと」と話す3冠は、さらなる飛躍を目指す。