元長野県知事で作家の田中康夫氏は1日、山中竹春前市長の辞任に伴う横浜市市長選(4日告示、18日投開票)に立候補しないことを明らかにした。
田中氏は21年と昨年の2度、横浜市長選に挑戦したが、いずれも敗れていた。ただ今回は、山中前市長がパワハラ問題で辞任したことで、健全な市政運営も争点に浮上。田中氏が数年来、横浜市政に関心を持ち続けたことに加え、00年から務めた長野県知事時代に「脱ダム宣言」などで注目を集め、参院議員、衆院議員なども務めたこともあり、一部では待望論も起きていた。
田中氏は声明を公開。「『政治』の世界は往々にして、『何をしたい人なのか』よりも『どこが推す人なのか』が注目されます」として、「政局論争が先走り」「政策論争が後回しとなります」と指摘。「今回、私は横浜市長選挙に立候補しません。が、出ないことと、終えることは、似て非なるものです。選挙には、出るべき時もあれば、あえて出ないことで見えてくるものもあります。少し距離を置けば、街の輪郭が見えてくる。声の大きさではなく、声の届かない場所も見えてくるひとつの選択に区切りを付けますが、予定表には載っていない出番も、人生にはあるものです」とした。
市長選には、これまでに弁護士の原澤敦美氏(59)、会社経営者の福山敦士氏(37)、前衆院議員の中谷一馬氏(43)、共産党県委員会副委員長の浅賀由香氏(46)、市民団体代表の藤川祥子(さちこ)氏(51)、前市長の山中氏が立候補を表明している。
▼声明全文
私、田中康夫は、横浜市長選挙(10月4日告示)に立候補しないことを決めました。
SNS、メール、更には街頭でこの間、「横浜を一緒に変えましょう」と言葉を掛けて下さった数多くの方々に、心より感謝申し上げます。
あらかじめ税金を皆さまから頂戴する行政は、さまざまな住民の要望に肌理(きめ)細やかに対応する「総合サービス産業」です。
その基本理念として昨年の市長選挙で私は「公正(フェア)透明(オープン)平易(シンプル)納得(ロジカル)」を掲げ、闘ってきました。
けれども「政治」の世界は往々にして、「何をしたい人なのか」よりも「どこが推す人なのか」が注目されます。
「どこの政党が推すのか」、「誰が応援に立つのか」、「どんな団体が動くのか」と政局論争が先走り、一番肝心な「何を、どのように変えていくか」を具体的に示す政策論争が後回しとなります。
人物よりも後ろ盾、政策よりもイメージ、国民の希望よりも組織の都合。
近い将来、選挙の構図が決まってから「候補者」を人選するかも知れません。
今回、私は横浜市長選挙に立候補しません。
が、出ないことと、終えることは、似て非なるものです。
選挙には、出るべき時もあれば、あえて出ないことで見えてくるものもあります。
少し距離を置けば、街の輪郭が見えてくる。
声の大きさではなく、声の届かない場所も見えてくる。
ひとつの選択に区切りを付けますが、予定表には載っていない出番も、人生にはあるものです。
これまで支えて下さった皆さま、期待を寄せて下さった皆さま、そして、率直な声を届けて下さった皆さま。
本当にありがとうございました。
2026年10月1日 田中康夫

