前回、世界96カ国の広範囲に及ぶ「失恋の痛手」に関する調査結果をお話ししましたが、こと日本国内に限ってはどうでしょう?

専門学校生、大学生、20代、30代社会人の男女を対象に調査した「失恋」に関するアンケート結果があります。「失恋から立ち直る期間」を聞いたところ、男性は「1カ月程度」が16・0%で最多。「1カ月程度、もしくはそれ未満」と回答した人は合計41・7%でした。

一方、女性で「1カ月程度、もしくはそれ未満」と回答した人は合計25・3%と、低いものでした。先の世界的な調査では「女性のほうが切り替えは早く、男性のほうが前の恋を引きずる」とされたわけですが、今回は失恋のダメージが癒えるには女性のほうがより長い時間を必要とする傾向が見受けられました。これって、引き継がれる「大和なでしこ」の奥ゆかしさ?

続いて「失恋から立ち直るためにやっていること」を聞くと、ここでも男女の違いがくっきり出ました。男性は失恋から立ち直るためには1位が「何もしない」で35・0%、2位の「1人で過ごす」が22・4%と、耐える傾向にあります。女性は「同性の友人に話す」が32%で最多。2位に「泣く」が続いています。男性とは異なり、誰かと痛みを共有して、乗り越えようとしていることがわかっています。

では、人は失恋からどれくらいの期間で立ち直るのでしょう? 米メディア「エリート・デイリー」の記事に興味深い記事がありました。「失恋した71%の人たちが、3カ月で何らかの明るい兆しを見つけている」というもの。気持ちのよい別れ方でなかった場合、こちらがふったにせよ、元カレや元カノがふったにせよ、ともに同じ「3カ月」でその失恋を乗り越えている、という調査結果です。

もう1つ、同メディアによると「人は何かに拒否されると心拍数が下がる」という。まさに、失恋という一種の「拒否」を体験すると、心拍数が下がるために、疲れをどっと感じるようになるのかもしれません。また、人は拒否されると、脳の中でも体と同じ反応を示すらしいです。心臓、脳にも疲れや痛みをもたらす「失恋」-。立ち直るのに、時間がかかるのも、無理はありません。しかし、このような調査結果を知っていると、自分を客観視でき痛手が軽減されるきっかけになるかもしれません。

◆森田豊(もりた・ゆたか)1963年(昭38)6月18日、東京都生まれ。秋田大医学部、東大大学院医学系研究科修了。米ハーバード大専任講師を歴任。現役医師として活躍すると同時に、テレビ、ラジオでコメンテーターとして出演多数。テレビ朝日系の人気ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」の医療監修をドラマ立ち上げの時から務め、今年10月に新シリーズを迎える。気分転換は週2回のヨガで、15年あまり継続。インスタグラムdoctormorita、ホームページmorita.proなどで情報発信中。