両リーグの地区シリーズ4試合が、一斉に始まった。3連覇を目指すドジャースは球団史上初のV2を達成した過去2年、ポストシーズン(PS)に強いラッキーボーイが次々と出現した。
一昨年はフレディ・フリーマン内野手(37)、昨年は山本由伸投手(28)など、短期決戦でシーズン中のパフォーマンス以上に力を発揮するキーマンたち。神がかり的な“ミスター・オクトーバー”は今季も誕生するか。
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短期決戦に強い男たちのメンタリティーとは-。PS出場8年連続、通算10度目のフリーマンは地区シリーズを迎える前、極限でプレーする際の心得について、その一端をのぞかせた。
「3連覇のことは考えていない。考えているのは地区シリーズの相手と、その準備だけ。この段階で大きなことを考えすぎれば、目の前のことを見失ってしまう。1日1日を大事にしないといけない。もちろん、その先に何があるかは理解している。でも今に集中しなければ、大きな目標にたどり着くことはできない」
チームとして公言して目指す3連覇。最終的なゴールは頭の片隅に置き、“封印”する。凡事徹底-。1日のやるべきことを重点的に行い、小さな目標を達成する。その積み重ねにより、大目標に到達するという考えだ。
24年のPSでは、シーズン終盤で足首を捻挫した。強行出場し、ミスター・オクトーバーとなった。ワールドシリーズでは史上初の逆転サヨナラ満塁弾を含む、4試合連続本塁打をマーク。MVPに輝いた。体の違和感があっても好不調とは引き離し、できる限りのプレーに徹した結果だった。
昨年で言えば、山本由伸が伝説を継承した。オリックス時代の21年からチームを頂点に導き続ける優勝請負人。どんな状況の試合でも、繰り返し口にする言葉がある。「いつも通り」「とにかく1試合1試合に集中する」「目の前のバッターに集中する」。昨年、2勝3敗と追い込まれたワールドシリーズ第6戦の登板前にも、「もう目の前の試合に集中して、いつも通りのプレーをやっていきたい」と話していた。山本の場合、どんな試合であろうと、極限状態の一戦であろうと、マウンドに臨む姿勢は一貫している。
一方で、キケ・ヘルナンデス内野手(35)は明らかに変化する。昨年のワールドシリーズ第7戦を前に、短期決戦に強い理由について「ポストシーズン以上に結果を出したい舞台なんてあるか? 全てが高まるんだ。集中力も、激しさも、球場の熱気も、何もかもが違う。うまく説明できないけど、カオスな状況になると、自分の一番いいところが引き出される。言葉にするなら、それが一番近いかな」と語った。高まるアドレナリンが、プレーに反映される。「ラテンの血かもしれないけど、分からない。ただ10月にプレーすることが大好きなんだ」と、プレッシャーのある戦いを好み、力に変えている。
長年の経験から、その心得を大事にするフリーマン、いつもと変わらない山本、お祭り男のマインドを持つK・ヘルナンデス、それぞれ形は違うが、集中力を高めるという点では同じだ。ナ・リーグのワイルドカードシリーズでは、パドレス主軸のマチャドがシーズン中とは別人のように打ち始め、2連勝で突破に貢献した。他球団のお祭り男をしのぐミスター・オクトーバーが今年もド軍から現れるか。21世紀初となる3連覇へ、負けられない戦いの見どころとなりそうだ。【斎藤庸裕】
◆ミスター・オクトーバー アスレチックス、ヤンキースなどで活躍したレジー・ジャクソン外野手は、ポストシーズンに強いことからミスター・オクトーバーと呼ばれた。77年ワールドシリーズ(WS)で6戦5本塁打をマークするなど、WSのMVPを2度獲得。PS通算では、77試合で打率2割7分8厘、18本塁打、48打点の成績を残した。メジャー21年間で通算2584安打、563本塁打、1702打点。87年に引退し、93年に殿堂入りした。
<ポストシーズンでシリーズMVPに輝いた日本人選手たち>
09年 ヤンキース松井秀喜が、フィリーズとの6戦で打率6割1分5厘、第6戦で3安打1本塁打、6打点の驚異的な成績を残し、日本人初となるワールドシリーズMVPに輝いた。
13年 レッドソックス上原浩治がタイガースとのア・リーグ優勝決定シリーズ6試合で1勝3セーブ。5試合の登板で無失点に抑え、シリーズMVPを獲得した。
25年 ドジャース大谷翔平が、ブルワーズとのナ・リーグ優勝決定シリーズ第4戦、投打の二刀流で出場し、3本塁打、10奪三振で史上初の偉業を達成。シリーズMVPに輝いた。
25年 ドジャース山本由伸が、ブルージェイズとのワールドシリーズ第6戦に先発した翌日、中0日で第7戦にリリーフとして登板し、胴上げ投手となった。3試合の登板で、3勝0敗、防御率1・02。日本人選手2人目のワールドシリーズMVPを獲得した。



