ドジャースが地区シリーズを突破し、ナ・リーグ優勝決定シリーズが開幕しました。昔から米球界関係者たちは「ワールドシリーズよりリーグ優勝決定シリーズの方が面白い」と言います。そこには夢のワールドシリーズ出場を賭けた壮絶な戦いがあるからです。それだけに幾多の名勝負や名場面も生まれています。

最も印象的なのは「メジャー史上最高の1週間」と言われたリーグ優勝決定シリーズです。1986年ナ・リーグはメッツが第6戦で史上最長となる延長16回の死闘を制すれば、ア・リーグはレッドソックスが第5戦でデーブ・ヘンダーソンの9回2死から逆転3ラン。エンゼルスの守護神ドニー・ムーアは被弾のショックでうつ病になり、自殺してしまいました。

92年ナ・リーグ優勝決定シリーズではブレーブスの伏兵フランシスコ・カブレラ(元オリックス)が第7戦9回裏2死満塁から殊勲の代打逆転サヨナラ打。その年レギュラーシーズンで10回しか打席に立っていない3番手捕手による「9回裏の奇跡」で2年連続リーグ優勝を決めました。

99年ナ・リーグ優勝決定シリーズではメッツの「満塁男」ロビン・ベンチュラが第5戦延長15回裏3-3と同点の場面で右中間フェンスを越えるサヨナラ満塁本塁打。ところが、彼は「一塁さえ踏めば、我がチームの勝利。それで十分さ」と進塁を放棄。何と、前代未聞の「幻のサヨナラ満塁ホームラン」となりました。

2003年ア・リーグ優勝決定シリーズはヤンキース松井秀喜外野手が伝説の「歓喜ジャンプ」でも有名になった、宿敵レッドソックスとの第7戦延長11回裏にアーロン・ブーンが左翼席へ劇的なサヨナラ弾。その試合は三塁側スタンド上段にある臨時記者席から見ていたので、生涯忘れられないシーンとして鮮明に覚えています。

その翌年にはレッドソックスがヤンキースとの第4戦9回裏、土壇場で同点に追いつき、延長12回裏に「ビッグパピー」ことデービッド・オルティスが劇的なサヨナラ本塁打。そこからメジャー史上初の3連敗から4連勝という最大の大逆転劇を演じ、最終的に「バンビーノの呪い」を解く86年ぶりの世界一となりました。

そして、昨年のナ・リーグ優勝決定シリーズではドジャース大谷翔平が第4戦に投打二刀流で先発出場し、何と3本塁打&10奪三振の活躍でMVPを獲得。米メディアでは「野球史上最高のパフォーマンス」だと絶賛し、米スポーツ専門局ESPNでも年間表彰されました。

今年は地区シリーズ4試合で13打数2安打と沈黙しましたが、デーブ・ロバーツ監督は「どこかのタイミングで必ず本来の姿を取り戻すと強く信じている」と力を込めて話していました。それがリーグ優勝決定シリーズであれば言うことなしです。

1977年からナ・リーグ、80年からア・リーグが優勝決定シリーズのMVPを表彰して以来、まだ誰も2年続けて受賞した選手はいません。大谷の史上初となる2年連続MVPに期待しましょう。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)